「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2016年11月16日(水)

論戦ハイライト

TPP委 不透明な見直し組織

参院特 紙議員の追及から

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

写真

(写真)質問する紙智子議員=15日、参院TPP特委

 日本共産党の紙智子議員は15日の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、協定運営の中核でありながら極めて不透明な存在となっているTPP委員会について追及。「はっきりしているのは多国籍企業など利害関係者が介入する仕組みがあるということだ」と批判しました。

 TPPは「生きている協定」と呼ばれます。協定発効後に設置されるTPP委員会やその下の各小委員会で、貿易や投資拡大のための協定の見直し作業が続けられるからです。ところが、肝心のTPP委員会の具体像は全く明らかになっていません。

  TPP委員会はどういうメンバーで構成されるのか。

 石原伸晃TPP担当相 締約国の政府代表。閣僚に限定されていない。

  国内組織ではなく、TPP参加12カ国でつくる組織なのか。

 担当相 どこにどうということはまだ決まっていない。

  本部はどこに置かれるのか。

 担当相 発効後に議論がスタートする。

国会関与も不明

 TPP委員会は、協定見直しに際し「非政府または団体からの意見」を考慮するとしています。紙氏は、多国籍企業や経済団体の意見を聞く仕組みがある一方で、国会の関与はどうなっているのかと質問。安倍晋三首相は「条約が改正されれば国会の承認が必要になる」と述べるだけで、必要な法律改正や予算措置に国会がどう関与するかについては答弁を避けました。

 紙氏は、TPP委とそのもとに置かれる22の小委や作業部会の組織図を示して質問。食の安全にかかわる「衛生植物検疫小委」、食品表示にかかわる「貿易の技術的障害小委」、雇用にかかわる「自由職業サービス作業部会」「ビジネス一時的入国小委」「労働評議会」といった名前が並びます。「国民生活にかかわるあらゆる分野が貿易と投資を拡大するために議論される」(紙氏)ことになっているのです。

 なかでも、規制を見直す「規制整合性小委員会」は、協定全体の見直しに関わる仕組みになっています。規制対象は「相当な範囲」と定めるだけで内容は明らかにしていません。

  食品添加物の定義や遺伝子組み換え食品の表示基準を米国に合わせることも入るのか。

 担当相 具体的な範囲は定められていない。

  「相当な範囲」が分からなくては安心できない。

 TPPはさらに、同小委に、締約国の利害関係者が意見を述べるための「適当な仕組みを設ける」と定めています。

 紙氏が、農業の規制緩和を進めた日本の「規制改革推進会議」のようになるのではとただすと、安倍首相は「規制改革会議で決まったことも、国会の審議がなければ法律にはならない」などと言い逃れしました。

  TPPは交渉過程も秘密なら、今後どうなるかも分からない。バスに乗ったらどこに連れて行かれるか分からない。

 首相 われわれも運転席に乗って運行のルールづくりを行ってきた。

  ブレーキが利かなかったら恐ろしいことになる。

歯止めない協定

 紙氏は、国会の関与も不透明ななか多国籍企業や経済団体、利害関係者の関与だけが決まっていると強調。しかも協定の見直しが待てない企業には、投資家対国家紛争解決(ISDS)条項で国を訴える権利まであるとし「企業のための歯止めなき協定だ」と訴えました。

 紙氏は、安倍政権が誇る農産物の関税撤廃の「例外」も、米国のコメや豚肉の業界団体の介入から守れる保証はないと指摘。石原氏が「(業界団体の圧力があっても)協定見直しには至らない」などと無責任な答弁に終始したため、「協定に関税撤廃に突き進む仕組みがある以上、いずれ撤廃は避けられない」と批判しました。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって