2016年11月17日(木)
公共の福祉さえ攻撃
参院TPP特 山添氏、ISDS批判
日本共産党の山添拓議員は16日の参院環太平洋連携協定(TPP)特別委員会で、TPPに盛り込まれたISDS(投資家対国家紛争解決)条項の危険な仕組みを明らかにして、日本政府の根拠なき楽観論を厳しく批判しました。
山添氏は、北米自由貿易協定(NAFTA)にもTPPと同様の濫訴防止規定があるのに、ISDS提訴事例が69件(うち50件が米企業)と乱発されていることを指摘。公共の福祉目的の規制も米企業から攻撃される事例があることを示して、見解をただしました。
事例の中には、国民の生命・身体の安全を確保できないとして、米製薬会社の治療薬の特許を無効にしたカナダ最高裁判所の判決を不当だとして米製薬会社が損害賠償請求したケースまであります。
山添氏の追及に、石原伸晃TPP担当相は「個々の事例(の詳細)を承知していない」と、答弁を避けつづけました。
山添氏は、仲裁廷には先例拘束性もなく、判断基準も時々で変わるうえ、「公共の福祉を目的とする規制」の立証責任は訴えられた政府の側にあると指摘。しかも、仲裁人は多国籍企業を顧客とする弁護士などが担当するケースが多いとして、「中立性が担保されているとはいえない」と強調しました。
TPP政府対策本部の渋谷和久内閣審議官は「(仲裁人の中立性を担保するために)行動規範をつくる」と述べたものの、規範の策定に国会が関与できないことを認めました。
山添氏は、ISDS条項は国内裁判所の判断のうえに、仲裁廷の判断をおくものになりかねず、「実質的に国内の法制度の変更をもたらす」と指摘。国家主権を脅かすTPP協定からの撤退をあらためて訴えました。