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2016年12月5日(月)

カジノ 経済破綻 転換進める

中国・マカオ 米国

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 日本の国会では、自民党と維新の会、公明党の一部などがカジノ解禁推進法案をゴリ押ししようとしています。推進派はもっぱら「経済効果」を強調しますが、カジノが盛んな他国の実態をみると、カジノに依存する経済は破綻、むしろその転換が求められています。(北京=小林拓也、ワシントン=遠藤誠二)


中国・マカオ

収入減でGDPマイナス20%

写真

(写真)マカオのカジノ施設=2014年1月4日(小林拓也撮影)

 中国の特別行政区マカオは、世界遺産とカジノで有名な観光都市です。カジノ産業の収入は2006年に米ラスベガスを超えて以来、世界第1位の座を維持しています。13年にはカジノ収入が過去最高の3607・5億マカオドル(約5兆1400億円)で、ラスベガスの7倍になりました。

腐敗の温床に

 マカオでは国内総生産(GDP)の半分以上をカジノ関連産業が占め、政府の収入の8割がカジノ収入など、カジノに過度に依存した経済になっています。

 しかし、13年から中国政府が反腐敗キャンペーンを本格始動。マカオのカジノ産業は、中国の腐敗官僚のマネーロンダリング(資金洗浄)の場となっていたため、取り締まりが厳しくなりました。現地メディアによると、VIPルームの使用に身分証が必要になり、発覚を恐れた政府や国有企業の幹部はカジノに来なくなりました。

 同時に、中国経済の減速や、アジアの他のカジノ都市との中国人富裕層の奪い合いが激しくなり、14年からカジノ収入が激減。15年は2308・4億マカオドル(約3兆2900億円)と、前年比34・3%減、ピークの13年比46・4%減とほぼ半減しました。

経済共に低迷

 カジノに依存したマカオ経済も低迷。14年のGDP成長率はマイナス1・2%、15年はマイナス21・5%でした。

 今年1〜11月のカジノ収入も前年比4・3%減。8〜11月のカジノ収入は前年同時期から増加し、今年第3四半期(7月〜9月)のGDPは2年ぶりにプラスに転じました。ただ、依然として厳しい状況に変わりはありません。現地メディアによると、マカオ政府はカジノ以外の産業を振興させ、カジノだけに頼る経済モデルの転換を進めています。


米・23州で合法化

成人人口の1%が「依存症」

 カジノ大国の米国では、カジノが経済効果をあげ地域に発展をもたらすとして始まったものの、逆に衰退している地域もあります。北東部ニュージャージー州のアトランティックシティー。米国最大都市ニューヨークから南に約200キロにある大西洋沿いの観光都市です。

 1976年に同州がカジノを合法化し、その2年後に最初のカジノが開業。2006年には12のカジノで年間52億ドルの収益を上げました。

 しかしその年をピークに衰退が始まります。ネバダ大学の調査研究機関=ゲーミング・リサーチセンターによると、15年の収益は25億6000万ドルとピークの半分に。12あったカジノは七つまで減りました。

利用者の分散

 隣のペンシルベニア州、首都ワシントンに隣接するメリーランド州でもカジノが開業し、利用者が分散したのが原因といわれます。

 今年9月のアトランティックシティーの失業率は7・2%。全米平均の4・8%をかなり上回ります。

 米国では約半分にあたる23州でカジノが合法化されています。しかし、州政府が管轄しない先住民居留地でのカジノ営業も多数あり、ハワイ、ユタ両州を除く48州とワシントンにカジノがあります。

 ギャンブル依存問題に取り組む団体「全米ギャンブル問題評議会」によると、米国では成人の85%が1度はカジノを経験しています。

 成人人口の1%にあたる約200万人が病的賭博と呼ばれる精神疾患(ギャンブル依存症)にあり、400万〜600万人が、病的賭博との診断はくだされないものの、ギャンブルに依存する症状を経験しているといいます。


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