2016年12月6日(火)
論戦ハイライト
TPP 税逃れを助長
参院TPP特 辰巳議員が追及
日本共産党の辰巳孝太郎議員は5日の参院TPP(環太平洋連携協定)特別委員会で、外国企業に国内拠点の設置を要求できないTPPの規定によって、外国企業の課税逃れが助長されかねないことを明らかにしました。
外国企業 日本で納税拒否
世界的規制の流れに逆行
|
TPPは、第10章6条で「現地拠点設置要求の禁止」条項を定めています。辰巳氏は、住宅を使い宿泊サービスを提供する「民泊」では、違法営業が多発しているにもかかわらず、外国企業は同条項によって国内拠点の設置を求められず、立ち入り検査を含めた罰則を科すことができないことを指摘。さらに、課税・徴税すらできない危険を明らかにしました。
外国企業は日本国内で事業を行っていても、日本国内に「恒久的施設」がなければ、日本では課税されません。辰巳氏は、米国企業のアマゾンは、日本に子会社(アマゾンジャパン)を持ち、莫大(ばくだい)な売り上げ利益を得ているにもかかわらず、この子会社は「恒久的施設」ではないとして、日本の法人税の納税を拒否しているとして、次のようにただしました。
辰巳 国税庁は(アマゾンジャパンが日本国内に持つ倉庫を)「恒久的施設」と認定し、140億円の追徴課税を行ったが、日米協議の結果、国税庁の主張は退けられた。どのような協議をしたのか。
麻生太郎財務相 個別の納税者の課税、協議の状況についての答弁は控える。
麻生財務相は答弁を拒否しましたが、外国企業の税逃れがすでに日本で横行している実態が明らかになりました。
世界で大問題に
さらに、辰巳氏は、アップル、グーグル、アマゾンなどIT企業の税逃れがとりわけ世界的な問題になっていることを指摘。TPPの規定が国際的な税逃れ対策(BEPSプロジェクト)の取り組みにも影響しかねないと強調しました。
BEPSプロジェクトでは、多国籍企業が進出先国における「恒久的施設」認定を回避し、税逃れを行うことを防止するため、「恒久的施設」の定義を拡張。電子商取引により、他国から遠隔で販売、サービス提供等の経済活動ができるビジネスへの課税の在り方も検討課題としています。
辰巳氏は「『グローバル企業は払うべき(価値が創造される)ところで税金を納めるべき』というのがBEPSプロジェクトの基本的な考え方の一つだ」として、次のようにただしました。
辰巳 TPPで、「恒久的施設」の設置を求められないとなれば結局、課税の機会の縮小になる。
安倍晋三首相 TPPの規定は、現地拠点の設置要求によって、サービス貿易が制限されないよう設けられたものだ。
正面から答えない安倍首相に対し、辰巳氏は、安全・衛生に必要な施設も置けず、課税の機会も縮小すると強調。TPPが多国籍企業の横暴を規制するどころか、その利益を最大化させるために使われると批判しました。