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2016年12月9日(金)

論戦ハイライト

関税撤廃で農業壊滅

TPP 紙氏

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 1991年の牛肉輸入自由化の際は5年間で肉用牛農家が3割減ったが、環太平洋連携協定(TPP)で関税撤廃となれば日本の農業は壊滅する―。日本共産党の紙智子議員は8日の参院TPP特別委員会で、重要農産物を守ったと言い張る安倍晋三首相に現場の農家の悲痛な叫びを突き付けました。

 TPP交渉参加にあたり国会は、コメや麦、牛・豚肉など農産物重要5項目を関税撤廃の「聖域」とするよう決議しました。しかし、TPPでは重要5項目594品目のうち170品目で関税が撤廃。牛肉では53品目中39品目で関税が撤廃され、関税が残る品目も現在の38・5%から9%へ下げられます。豚肉も49品目中33品目で関税撤廃です。

  なぜこれで国会決議を守ったと言えるのか。

 首相 そのような機械的な基準で判断するのは適当でない。

政府試算を批判

 紙氏は、91年の牛肉輸入自由化で日本の牛肉飼育農家が大きな打撃を受け、農水省もこのうえ関税が無くなれば「国内生産は壊滅的な影響を受ける」と分析していたことを指摘。TPPによる牛肉の国内生産量の減少率を0%とする安倍政権の試算を「あまりに無理がある」と批判しました。

 紙氏は、酪農家は乳牛の雄牛を肉牛農家に育ててもらい、堆肥は畑作農家に提供し、畑作農家からは麦わらを受け取るといった連携のうえに北海道の農業が成り立っていることを紹介し、連携が崩れれば地域全体に影響が及ぶと強調。全米肉牛協会が、TPPで日本への牛肉輸出は倍に増えると喜び、豪州からも期待の声が上がっていることを示し、「畜産経営を国際競争に放り出すものだ」と批判しました。

離農の実態示す

 山本有二農水相は、農家が「体質強化」すれば対応できるかのように答弁。紙氏は、年間出荷数1万頭超という千葉県の大規模養豚団地で寄せられた「TPPで関税が下がればやっていけない」という声を突き付けました。

 紙氏は、91年に牛肉とともにオレンジが輸入自由化されたことで90年に約14万戸あった愛媛県のミカン農家が2010年には5万7千戸に急減したことを告発。必死の努力で品種改良に取り組んでも離農に歯止めがかからない実態を示しました。

  オレンジもTPP発効から6年後に関税が撤廃される。ミカンは木を植えてから実がなるまで5、6年かかる。農家からは「6年目に関税撤廃といわれると、続けるかためらう」と声があがっている。地域経済や地域雇用をも壊すことになる。

 首相 91年の輸入自由化で国内ミカン生産は壊滅するといわれたが、そうなっていない。

 事実をゆがめ「こたつに入って食べるのはやっぱりミカン」などと不誠実な答弁をする安倍首相。紙氏が「ミカン農家はそんな安閑としていない。自由化を必死の努力で生き残り、先祖から受け継いだ土地を自分の代で切らすわけにはいかないと涙ながらに語っている。その気持ちを分かっているのか」と気迫を込めて訴えると、議場は静まりかえりました。

 紙氏は「農業を目指す若者の希望、生産者の誇りを壊すことは許されない」と迫りました。


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