2016年12月21日(水)
福島第1 事故費用を国民に転嫁
政府が方針 東電と原発を救済・延命
政府は20日、東京電力福島第1原発の廃炉や損害賠償・除染など21・5兆円ともされる膨大な事故費用をめぐって、電気料金の値上げや税金投入で国民に負担を転嫁する方針を決めました。東電と原発の救済・延命をはかるもので、国民の批判は必至です。
従来想定より増えた賠償費用2・4兆円について、原発を持たない新電力も含めて、利用者の電気料金(大手電力会社の送配電網の使用料=託送料金)に上乗せして回収するなど、同日閣議決定した「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」に盛り込みました。
廃炉費用は東電の送配電事業の利益から資金を積み立てる制度を創設。送配電事業の利益分は本来、利用者の電気料金値下げに回されますが、東電管内の全利用者の負担増につながりかねません。
東電に対しては、2017年度予算で、資金援助するための交付国債枠を9兆円から13・5兆円に拡大。
立ち入りが制限されている帰還困難区域の一部の除染費用を東電に請求せず「国の負担において行う」と明記。17年度予算に300億円程度を計上する方向です。事故の原因者負担の原則に基づき、除染費用は東電負担としてきた方針を転換する東電救済策です。
同日、経済産業省の非公開の有識者会議「東京電力改革・1F問題委員会」(東電委員会)も提言をまとめ、東電の「経営改革」として「(柏崎刈羽)原発の再稼働を実現する」などとしました。