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2016年12月21日(水)

基本給格差を容認

非正規待遇 政府が指針案

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 政府の働き方改革実現会議は20日、正規社員と非正規社員との不合理な格差を是正するとして「同一労働同一賃金ガイドライン(指針)案」を決定しました。基本給などの格差を容認する一方、一部の手当などについて是正を盛り込むものにとどまりました。

 指針案では、具体的事例を紹介し、「問題とならない事例」と「問題となる事例」を示しています。

 基本給は、職業経験・能力、業績・成果、勤続年数について正社員と非正社員に「一定の違い」があれば、支給額に差があっても容認されるとしています。賞与(一時金)についても支給を求めた上で、「会社への貢献」で格差をつけることを認めています。

 ただし、昇給については、職業能力の向上に応じて支払う場合は同一の昇給を行うよう求めています。

 通勤手当や出張旅費、食事手当の支給、慶弔休暇の付与については、同一の支給をしなければならないとしています。本人の都合で転居した場合は、圏内の通勤費だけしか支給しなくてもよいとしています。

 企業からは、非正規社員の賃金を多少引き上げる代わりに正社員の賃金を引き下げる考えも出ていますが、労働者全体の賃金水準向上に逆行する動きに対する歯止めは盛り込まれていません。労働者側が求めてきた不合理な格差に対する立証責任を企業に負わせることも見送られました。

 指針に法的拘束力はありません。政府は、早ければ来年の通常国会に関連法案を提出する考え。指針は、改正法の施行と同時に始める方針です。

解説

格差固定化の危険

 政府の働き方改革実現会議がまとめた「同一労働同一賃金ガイドライン案」は、格差を容認する現行法の枠組みを出ないものにとどまりました。非正規労働者の待遇改善にとって実効性がないばかりか、正規労働者との格差を固定化する危険性を抱えたものです。

 指針案では、職務内容・勤務地の変更など人材活用の違いを理由に基本給に格差をつけることを容認しています。これでは、勤務地変更などがないパート・有期労働者の賃金差別・格差の是正にはつながりません。ILO(国際労働機関)パート労働条約175号でもこうした違いは含まれていません。

 さらに指針案では、「業績」「成果」で基本給に格差をつけることを容認。賞与(一時金)についても「会社への貢献」で格差をつけることを認めています。主観的な判断で格差を合理化し、正社員にも成果主義を強化することになりかねません。

 指針案策定にあたって経団連は、企業が主観的に判断する「仕事・役割・貢献度」に応じて処遇すべきだと主張。正社員も非正規社員も企業の都合のいいように働かせる仕組みを求めてきました。指針案はこうした要求にも沿う内容です。

 安倍首相は「非正規という言葉をこの国から一掃する」と豪語していましたが、名ばかりというほかありません。現行制度の枠にとらわれず、同一(価値)労働同一賃金の原則を明記するなど差別や格差の是正・根絶につながる法改正を行い、その上で実効性ある指針になるよう抜本的に見直すべきです。

(深山直人)


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