2016年12月25日(日)
核兵器禁止へ歴史的一歩
国連総会決議 違法化へ道開く
NGOなど市民も参加へ
ニューヨークで開かれていた国連総会は23日夜、10月末に総会第1委員会で採択していた核兵器禁止条約について交渉する国連の会議を来年2会期にわたって開くことを内容とする決議案を採択しました。核兵器禁止に向けた新たな流れが作られることになり、歴史的一歩といえます。(西村央)
来年3月と6月に開催される会議には、国連機関や非政府組織(NGO)などの市民社会も参加でき、草の根の市民の運動の成果を反映させることが可能となります。核兵器の禁止=違法化の議論が進むなら、核兵器の使用や保有への目は厳しくなります。
禁止条約の意義については、第1委員会で採択された直後に、核兵器廃絶の交渉監視を続けているレイ・アチソン氏が「禁止条約ができれば核兵器の維持や近代化は違法だと問われる。交渉過程の段階でも国民の監視が今以上に強まる」と語っていました。
これまで、生物毒素兵器禁止条約は1975年、化学兵器禁止条約は97年にそれぞれ発効し、生物兵器や化学兵器は法的に禁止されています。
非人道性について告発されている核兵器の禁止条約が検討されるのは当然といえます。
禁止条約を歓迎する声は国際的にも広がっており、第1委員会の決議に対し、欧州連合(EU)の共同立法機関である欧州議会は、「全地球的な安全保障と核兵器のない世界の条件を生み出す」と賛意を示す決議を採択しています。
核保有国はいまだに1万5000発を超える核弾頭を持ち続けています。
これまでの国連の討議のなかでも、核兵器の脅威は重大であり、禁止・廃絶は緊急課題であるとの発言が相次いでいます。
今回の総会決議で、核兵器保有5カ国、米英仏中ロのうち、中国が棄権しましたが、他は反対しました。
被爆国日本が第1委員会の決議に続いて今回もまた「反対」したことは、世界の反核の願いに反することです。
核兵器固執勢力の抵抗は根強いものがありますが、長い目でみると核兵器廃絶を求める世論と運動が固執勢力を追い詰めています。
核兵器禁止条約は、日本と世界の世論と運動、禁止条約の「早期締結」を求める諸政府が20年来、努力を重ねていたものです。2017年はこの流れを大きく前に進めていく―。それが日本と世界に対する世論の期待と言えます。