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2016年12月30日(金)

電通書類送検

過労死促進 問われる安倍政権

残業代ゼロ法案撤回し、上限規制こそ

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 広告代理店最大手・電通は、過労自殺にかかわる労働基準法違反(違法長時間労働)の疑いで書類送検され、石井直社長が辞任表明に追い込まれました。(深山直人)


 労働問題で大企業のトップが責任を問われ辞任することは極めて異例のことです。利益第一で労働者を犠牲にしてきた企業経営のあり方が根底から問われる時代となっていることを示しています。

 電通の労使協定を超える長時間労働は、2013年の月平均1573件から16年は同1・4件と激減する一方、自己申告の勤務時間と入退館記録が異なるケースが増え、15年は13年の1・5倍の8222件にのぼっており、違法な長時間労働をうかがわせます。

 10月から午後10時以降のいっせい消灯を実施していますが、「仕事は減らない」「持ち帰りが増えた」との声が上がっています。全容の徹底糾明と実効性ある防止策が求められます。

 同時に厳しく問われるのは、違法労働を放置してきた厚労省と安倍政権の責任です。

 厚労省は、電通が違法残業で何度も調査を受けていたのに、07年から3度にわたって労働時間短縮の優良企業だと認定(くるみんマーク)していました。

 本紙報道を受けて電通は認定を返上しましたが、厚労省は認定を取り消しておらず、ズサンな認定方法の見直しも行っていません。

 それどころか、過労死・長時間労働を野放しにする「残業代ゼロ」法案をいまだに撤回していません。同省は26日に緊急対策を発表しましたが、企業名公表の違法残業を「月100時間超」から「月80時間超」に引き下げる程度でまったく実効性に乏しいものです。

 世論に押されて政府は「働き方改革」で長時間労働是正の議論を1月から始めますが、「残業代ゼロ」法案を撤回し、野党4党や過労死遺族らが求める労働時間の上限規制やインターバル規制(休息時間保障)こそ直ちに行うべきです。


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