2017年1月10日(火)
主張
17年の農政・農民
食と農、地方の展望開く年に
お正月の帰省や旅行で、ふるさとの料理や行事を楽しみ、日本の食生活や地方の伝統の豊かさを実感した方も多いのではないでしょうか。その農業・地方が大きな困難に直面させられているだけに、日本の農漁業と地方の再生は、2017年の当面する最も切実で国民的な課題の一つです。
世界の流れ逆行する政権
昨年は、安倍晋三・自公政権が強引にすすめた環太平洋連携協定(TPP)の推進や財界主導の農業・農協への攻撃に対し、国民の食料確保や暮らしに大打撃になると、各地でたたかいが広がり、都市と地方、労働者・市民と農業関係者との連携も広がった年でした。7月の参院選でも、野党と市民の共同で野党統一候補が実現した東北・甲信越など11選挙区で勝利し、地方から政権の暴走をストップさせる足掛かりを築きました。
TPPは、日本はもとより世界各地に貧困と格差を広げてきた「新自由主義」の弊害を一層ひどくすると、日本だけでなく関係国民のなかで批判が広がっています。アメリカではそうした動きとも相まってトランプ次期大統領が離脱を表明、いまや発効の見通しが立たなくなっています。ヨーロッパでも米欧の自由貿易協定(EPA)を含む、「新自由主義」的な政策に、反対や慎重な対応をもとめる声が広がっています。
安倍自公政権は、これらの世界の流れとは逆に、TPPの承認と関連法の採決を強行するとともに、トランプ氏の翻意を促すなどと表明。交渉中の日欧EPAでは、TPP以上に市場開放を受け入れる合意まで急ごうとしています。
安倍政権は農業政策では、TPPに対応する農政「改革」だと称して、農業の規模拡大と輸出拡大など国際競争力強化を農業者に押しつけ、それに対応できない農家や地域を切り捨てようとしています。その一方で、歴代政府の農業政策が主因になってきた農業所得の減少を農協などの責任に転嫁し、全農などの事業縮小、単位農協の委託販売中止や信用事業を行う農協を減らすなど、介入的な「改革」を押しつけています。
これらの農政・農協「改革」は、アメリカや財界の要求で市場開放をすすめ、食料・農業の危機を招いた政治の責任を免れるとともに、協力・共生を基本とする協同組合を「企業が最も活動しやすい国」の障害とみなして解体・縮小し、農業・農協分野への営利企業の進出を野放しにしようとするものです。新しい年には、食料・農業・農協をめぐって国民の側と政府・財界の側との対決が、いっそう激しくならざるをえません。
攻撃と立ち向かい共同を
日本共産党は、今月開く党大会の決議案で、国民生活をめぐる焦点として、格差と貧困をただす課題をあげました。大企業と中小企業、大都市と地方の格差を是正する改革を柱に、農業政策では農産物の価格保障・所得補償など農業者が安心して再生産できる土台をつくり、食料自給率向上を重要な柱にすることを提起しています。
「新自由主義」とのたたかいをあらゆる分野で大きく発展させなければなりません。幅広い関係者の結集で、TPP関連法を廃止させ、農業・農協つぶしを許さず、農業・地域の再生と経済主権を取り戻す共同のうねりを、農業・農村からまき起こしましょう。