2017年1月22日(日)
“全分野で米国第一”強調
トランプ大統領就任
全米で市民ら抗議集会
【ワシントン=遠藤誠二、洞口昇幸】米共和党のドナルド・トランプ氏(70)が20日、ワシントンの連邦議会前で行われた就任式で宣誓し、米国の第45代大統領に就任しました。実業家のトランプ氏は、行政・政治の経験のない、また軍歴のない米国史上初めての大統領です。副大統領にはマイク・ペンス氏が就任しました。20日は、ワシントン市内や全米各地で、人権、移民擁護、環境保護、女性、人種マイノリティー(少数者)など多くの分野での市民・国民が反トランプ行動を繰り広げました。
トランプ氏は1期目としては最高齢で、ブッシュ大統領(息子)以来、8年ぶりの共和党大統領です。就任直前の各種世論調査で支持率が4割前後に低迷し、過去にないほどの不人気での政権発足となりました。
トランプ氏は就任演説で、「偉大なアメリカを再びつくろう」「米国第一」などこれまでに唱えてきたスローガンを用い、雇用の創出、経済活性化を進めることを約束。そのために、インフラ整備の強化などを打ち出しました。選挙戦から主張し批判を浴びている移民排斥のためのメキシコ国境での壁建設には直接言及しませんでしたが、「われわれの雇用を取り戻す。国境を取り戻す」などと述べました。
また「古くからの同盟関係を強化し、新しいものを形成し、急進イスラムテロに対し文明世界を団結させる。われわれは急進イスラムテロを地球上から一掃する」と述べ、イスラムという言葉を使い、同盟関係の再構築まで示唆しながら対テロに取り組むことを強調しました。
トランプ氏の政策に抗議する集会に参加した女性のサミー・リサールさん(18)は、「トランプ政権の誕生にがっかりする気持ちもあるけれど、怒りもある。次の大統領選を見据えて、反人権・差別的な政治を許さない運動を広げていきたい」と力を込めて語りました。
TPP撤退 正式表明
【ワシントン=遠藤誠二】米国のトランプ新大統領は20日、就任初日に、環太平洋連携協定(TPP)から撤退することを正式に表明しました。
ホワイトハウスがトランプ氏就任直後に発表した基本政策は、「厳正で公正な協定」が米国の経済成長、雇用の回復につながるとして、「この戦略は、TPPからの撤退で始まる。どの新しい貿易協定も米国の労働者の利益にかなうものになることを確かにする」と断言しました。
カナダ、メキシコとの北米自由貿易協定(NAFTA)については、再交渉にむけた意思があることを明らかにし、カナダ、メキシコ両国が公正な協定にむけての交渉を拒否するなら「大統領は米国がNAFTAから撤退する意向を示すことになる」と撤退の可能性まで言及しています。
また「貿易協定に違反し米国の労働者に害を及ぼす国は厳重に取り締まる」と警告しています。