2017年2月19日(日)
安倍首相“親トランプ以外 選択肢なし”
国会答弁にみる 「日米同盟第一」の追随ぶり
「(日本の立場としては)トランプ米大統領と親密な関係をしっかりとつくり、世界に示していく。それしか選択肢はない」(14日、衆院予算委)。日米首脳会談を受けた国会審議で、安倍晋三首相の「日米同盟第一」の追随ぶりが鮮明に表れました。(吉本博美)
「信頼関係」
「腹わって一緒に仕事できる」
「個人的信頼関係を確立できた」(同日、同委)―。人権軽視、排外主義的な姿勢を取るトランプ氏に対し各国首脳が距離を置くなか、安倍首相は、「人の話をよく聞き、決断が速い。腹を割って一緒に仕事ができる相手だと確信した」、「ルールをしっかり守る。マナーもしっかりしている」と親密ぶりを隠そうともしませんでした。首相は会談にともない、トランプ氏と2夜連続で夕食会を共にし、計約5時間にわたりゴルフに興じていました。
野党側からは、7カ国市民などに対する入国制限令をめぐり「欧州各国の首脳も批判的立場を明らかにする中、黙認の態度をとり蜜月ぶりをアピールする姿は異様だ」(日本共産党、井上哲士氏)、「アンチも多い大統領と親密な関係になることは、あわせて首相にも厳しい目が向けられる」(民進党、前原誠司氏)などと苦言が出ました。
軍事
「武器購入は米雇用に貢献」
米国との同盟強化の意義を問われたのに対し、首相は北朝鮮のミサイル発射などをあげて「共同で(日本を)守るのは米国だけ。この能力を持っている、あるいは報復するのも米国だけ」(14日、衆院予算委)と主張し、核攻撃を含む「報復」にまで言及しました。さらに米国製の兵器購入が、同盟強化につながるとともに、「結果として米国の経済や雇用にも貢献する」(15日、参院本会議)と発言。国民の税金をつぎこんで米軍需産業への貢献をもくろむ重大答弁です。
沖縄
「辺野古唯一」を「画期的」と
「辺野古が唯一の解決策と(共同文書に)入ったのは有意義であり画期的だ」(14日、衆院予算委)。首相は、運用期限が2019年2月に迫る沖縄県の普天間基地(宜野湾市)について「翁長雄志知事は根本のところで全く協力いただけない。(期限までの運用停止が)難しい状況だ」と開き直った上で、名護市辺野古の新基地建設を対米誓約したことを“成果”として誇りました。
経済
「2国間FTA恐れていない」
会談の焦点だった経済分野での日米間の2国間協議、米国のTPP離脱決定に対する質問も出されました。首相は、「2国間FTA(自由貿易協定)を恐れているわけではない」「2国間であれ多国間であれ、日本の国益をしっかりと守る」(15日、参院本会議)と述べ、米国主導の交渉を受け入れる姿勢を示しました。