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2017年2月20日(月)

北朝鮮問題―「外交交渉のなかで非核化を迫れ」という提唱について

志位委員長が語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は19日、NHK番組「日曜討論」終了後、記者団が、「(志位氏は)NHK討論のなかで北朝鮮問題の対応について『外交交渉のなかで北朝鮮に非核化を迫れ』『それしか選択肢はない』と発言された。この意味と、こうした外交交渉をどういう形で訴えていくのか」と質問したのに対して、次のように答えました。


先制攻撃などの軍事力行使の選択肢は絶対にとってはならない――1994年の経験から

 (米国が)先制攻撃などの軍事行動を行う――戦争という選択肢をとった場合には、おびただしい犠牲が出ることは避けられません。地域と世界の平和を深刻な形で覆すことになることは間違いありません。

 この点で、1994年のクリントン政権の時代に、アメリカによる北朝鮮への先制攻撃の一歩手前までいったことがありました。その時は、韓国の金泳三大統領(当時)がクリントン大統領(当時)に電話して、“戦争は絶対にだめだ。そんなことになれば南北で数百万人もの人々が死亡する。もしも米軍が戦争を始めたとしても、韓国軍は一人たりとも動かさない”と、断固反対の談判をやって止めたことを、(金泳三氏)本人が証言しています。こうして(先制攻撃を)一歩手前で止めて、カーター(元米大統領の)訪朝となったわけです。世界は、この時に、地獄を垣間見たのです。こういう経験を経ている。

 先制攻撃などの軍事力行使の選択肢は絶対にやってはいけない。これは、こういう経験を踏まえても明らかなことです。

「戦略的忍耐」と呼ばれる従来の方針の破たんを、米国政府自身が認めた         

 そうすると外交的解決という選択肢しかありません。それでは北朝鮮に対してどういう外交交渉を行うか。これを根本から考える必要があります。

 NHK番組の中で述べたようにオバマ政権時代に、米国は「戦略的忍耐」と呼ばれる方針をとってきました。これは、北朝鮮との外交交渉は、北朝鮮が非核化の意思を示さない限り応じないという方針です。北朝鮮が何度も国際約束を破ってきたことから、こういう方針がとられてきたわけですが、結果は成功したとはいえません。

 オバマ政権時代の8年間、米国は「戦略的忍耐」の方針をとってきたわけですが、その間に、北朝鮮は、核兵器・ミサイル開発をどんどん進めてしまいました。結果を見れば、この方針が失敗だったということは明らかです。

 この点で、私が、注目したのは、安倍首相が日米首脳会談を受けての国会答弁で、「米国がトランプ政権に代わり、オバマ政権時代の戦略的忍耐から、方針の変更について今議論している最中である」(2月14日、衆議院予算委員会)とのべたことです。

 これは、「戦略的忍耐」と呼ばれる従来の方針の破たんを、米国政府自身が認めたことを意味するものにほかなりません。

 そのことが、安倍首相自身の口から語られた。私が、日米首脳会談後の安倍首相の発言で、最も注目したのはこの発言でした。

経済制裁の厳格な実施・強化と一体に、外交交渉のなかで非核化を迫れ

 それではどうするかとなった場合に、マティス米国防長官は、米国の上院軍事委員会の公聴会(1月12日)で、「軍事力という選択肢は持っておく必要があると思うか」との質問に対して、「われわれはいかなる選択肢も除外するべきではないと思う」とのべています。「いかなる選択肢も除外するべきではない」という場合に、選択肢のなかには軍事力行使の選択肢もある。外交的解決の選択肢もある。いまの段階では、軍事力行使の選択肢から外交的解決の選択肢まで、すべての選択肢がテーブルの上に乗っているわけです。

 したがって、いまは重大な分かれ道であるわけです。先にのべたように先制攻撃などの軍事的選択肢は絶対にとってはならない。米国が、北朝鮮に対して、経済制裁の厳格な実施・強化を行いながら、従来の方針を転換して外交交渉に踏み切る。そして外交交渉のなかで北朝鮮に非核化を迫る。北朝鮮の核・ミサイル開発の手を縛り、放棄させる。こうした方向に進むことがいま何よりも重要です。トランプ政権でも「方針の変更」が議論されているわけですから、日本政府は、こうした方向に進むよう、米国に働きかけることが必要です。国際社会も一致結束してのぞむ必要があります。

 北朝鮮の核・ミサイル開発をいかにして止め、放棄に向かわせるかを真剣に考えたら、これが唯一の道となるのではないか。私は今日の「日曜討論」で、そのことを提起したわけです。これは新しい問題提起ですが、(政府・与党は)ぜひ真剣に受け止めてもらいたいと思います。


解説

日本共産党第27回大会決議の具体化として

 北朝鮮の核・ミサイル開発に国際社会がどう対応すべきかについて、日本共産党第27回大会決議では、次のようにのべています。

 「国際社会のさまざまな努力にもかかわらず、北朝鮮の核・ミサイル開発を止めることができていないという事実を踏まえ、従来の延長線上にとどまらない外交的対応と、中国を含む国際社会による制裁の厳格な実施・強化という両面での対応を抜本的に強化することによって、北朝鮮の核・ミサイル開発の手を縛り、その放棄に向かわせることが重要である」(第3章第14項)

 今回の志位委員長の提唱は、ここで大会決議がのべている「従来の延長線上にとどまらない外交的対応」について、トランプ米新政権のもとで、オバマ政権時代の「戦略的忍耐」と呼ばれる対北朝鮮政策の変更についての議論が開始されるという新しい局面で、具体化したものです。


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