2017年2月28日(火)
残業規制適用除外の根拠崩壊
「抜け穴」許されない
高橋議員質問に厚労相
塩崎恭久厚労相が27日、日本共産党の高橋千鶴子衆院議員の質問に対して、原発再稼働審査のための電力会社の業務を残業時間規制の適用除外としている通達を3月末で廃止すると表明しました。
昨年10月に高橋氏が「過労死するほど働かせて再稼働を強行するなど許されない」と初めて取り上げ、倉林明子参院議員、真島省三衆院議員と日本共産党が連続追及してきた成果です。
現行法は、「公益上の必要」があると労働基準局長が指定した業務については、月45時間、年360時間という残業時間の限度基準を適用除外できるとされています。
しかし、再稼働審査は、原子力規制委員会が「期限はない」(田中俊一委員長)と高橋氏の質問に認めるなど、時間規制を外してまで急ぐ公益などないことが明らかになりました。
倉林氏の質問では、電力会社からの要望もないのに適用除外とする通達を出していたことが判明。真島氏の質問では、適用除外期間が終了しても限度基準を超える残業が横行するなど、「モラルハザード(倫理欠如)」まで生んでおり、適用除外の根拠は完全に崩壊しました。
電力会社での無法な適用除外を廃止に追い込んだことは、労働者の健康を守り、再稼働を許さない上でも重要な成果です。
一方で安倍内閣は「働き方改革」の名で残業時間の限度基準の骨抜きをねらっています。政府案では、「臨時的な特別な事情がある場合」、限度基準の2倍となる年720時間まで容認。月の上限も過労死ラインである80〜100時間まで可能にする考えです。
限度基準は、月45時間を超えると過労死のリスクが高まるとの医学的知見に基づき、国が設定したものです。背信的な「抜け穴」づくりはやめて、限度基準を法定化し、次の勤務までの休息時間を保障する「インターバル規制」の導入こそ必要です。(深山直人)
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