2017年3月3日(金)
森友学園疑惑 政治家の関与は明らか
安倍首相に解明責任
参院予算委 小池書記局長の連続追及
日本共産党の小池晃書記局長は1日に続き2日の参院予算委員会で、大阪市内の学校法人「森友学園」をめぐる疑惑について、政治家関与の解明を迫りました。やりとりの要旨を紹介します。
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鴻池議員事務所資料で質問
国会審議冒涜答弁に抗議
小池 きのう(1日)私は、自民党国会議員事務所の記録をもとに質問をしました。昨日の段階では「ある国会議員」として紹介いたしましたが、これは鴻池祥肇議員の事務所で作成された「陳情整理報告書」です。私どもが独自に入手したものです。
昨夜、鴻池氏が記者会見を行いました。森友学園の籠池理事長側から、何度も財務省などへの働きかけを求められたこと、3年前の4月には、籠池理事長夫妻が金銭らしきものを持ってきたことなどを証言されています。鴻池氏は、「一瞬で金だとわかった。だからそれをとって、無礼者!と言った。男の面を銭でたたく、政治家の顔を銭でたたくのは教育者と違う、帰れと言った」「その後出入り禁止にした」と話しています。
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森友学園側が異常な国有地の払い下げのために、政治家の力を利用しようとしたことが明らかになった。事実ははっきりしたと思います。総理はきのう私の質問に対して「どういう文書かわからない。本当かどうかもわからない」「どういう資料かを示さなければ、理財局長は答えようがない」、あげくの果てに、「ある事務所というのはまるで私の事務所であるかのようなイメージを与えている」と、まったく意味不明の答弁をされました。厳しく抗議したい。
私どもは全力を挙げて情報を集めて質問しています。同時に、どんなときも必ず裏付けをとって質問しています。情報源は断固として守り抜くという立場で臨んでいます。政府の公式発表だけで国会質問やっていたら、真実は明らかにならない(「そうだ」の声)。それをああだ、こうだというのは国会審議に対する冒涜(ぼうとく)、否定だと思いますよ。(「その通り」の声)
開校迫る時期の面談記録
廃棄・隠ぺい許されない
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小池 きのうの質疑で、財務省はどんな文書かわからないと、こう言いました。まるで怪文書のような極めて失礼な、無礼な言い方をしました。自民党の鴻池議員事務所の記録だと示したんですから、今度は逃げ回らずに答えてください。
財務省には昨日(1日)、面談記録に書いてある個人名、近畿財務局の担当官の名前も伝えました。鴻池事務所の面談記録にあるように2015年1月9日、近畿財務局管財課の統括官が籠池理事長に会って、そこで近畿財務局が「土地評価額10億、10年間で賃料年4%、約4000万円」と籠池氏に提示した。籠池氏は「年間2000万から2300万円」にしてくれと要望した。この事実を、事実として認めますね。
佐川宣寿財務省理財局長 当方として、議員事務所と学校法人との間でのやりとりのメモということで、私どもとしてお答えすることは差し控えさせていただきます。
小池 私は議員事務所とのやりとりについて聞いてるんじゃない。近畿財務局の担当官が籠池さんと会った経過が書いてある。これが事実かと聞いている。
理財局長 公的取得要望から貸し付け契約、売却契約まで、学校法人と近畿財務局の間で議論しているわけであります。その中で何月何日にという意味での詳細な面会記録は、残っていないわけで、逐一その点については確認できないと申し上げている次第です。
小池 私は、誰が会ったか具体的な人の名前も統括官の名前も伝えている。その人に聞いたんですか。
理財局長 何度も申し上げておりますが、その担当者と先方の間でいろんなご議論をしているのも確かです。そういう中で、そういう個別の面会の記録は残っていません。
小池氏が「1月9日に籠池氏に会ったかどうか統括官に聞いたのか」と重ねて確認しても、「面会記録が残っていない」と繰り返し、事実を明らかにしない理財局長。小池氏は「なんでこんなことが言えないのか。隠しているとしか思えない」と批判し、15年1月9日の近畿財務局と森友学園の面談が意味する重大性について指摘しました。
小池 この時期は重要な時期なんです。大阪府私立学校審議会で森友学園の財務状況について議論が沸騰していた時期なんですよ。最初に予定されていた開校時期が迫っていて、森友側だって必死だったはずなんです。
そういう時期に陳情の交渉をして、財務省が森友側に有利な条件を提示していたとすれば、それが大阪府私学審議会の議論に影響を与えたとすれば重大な問題じゃないですか。1月9日というのは、そういう時期なんです。だから聞いているんです。これまったく答えない。隠ぺいです。籠池理事長と近畿財務局の詳細な面談内容を国会に提出するよう求めます。
山本一太予算委員長 後刻理事会で協議します。
小池 われわれが資料を示すと、誰が書いたかわからない。資料の出所を示すと、今度は自分たちの記録を廃棄してしまったという。
きのう、総理は「ないことを証明するのは悪魔の証明だ」とおっしゃったが、自分たちで廃棄しておいて、立証責任を野党に求めるのは本末転倒ですよ。
国民の財産を8億円も値引きして売却した経過を「適正な処理だった」と言い張る。ほとんどの国民はこの経過に納得していないですよ。大事な税金を、どうなっているんだと、みんな怒っていますよ。ならばそれが適正であったかどうかを証明する責任はあなた方にある。立証責任があるんです。それを全部覆い隠している。こんなことは断じて許されないと私は申し上げたい。
財務省室長との面会
政治家仲介なしに不可能
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小池氏は、鴻池議員事務所で作成された「陳情整理報告書」には他にも行政側の名前がでてくるとして、その中身を詳しく紹介しました。
2013年9月9日、籠池氏から報告があり、「小学校用地の件。9月2日に財務局より7から8年、賃借後の購入でもOKの方向。本省及び大阪府と話し合ってくれる。上記の賃借料をまけてもらえるようお願いしたい」とあります。
10月15日にも近畿財務局の担当官から鴻池事務所へ回答あり、「塚本幼稚園の件。従来通り前向きに、ただし、大阪府の認可をとっていただかないと進みません」と記述。
10月16日にも近畿財務局の担当官から鴻池事務所へ「大阪府とは横の連携を取っているので、土地手当の件は府から確認があればOKと回答できます。また賃借の件は本省と打ち合わせ済み」。鴻池事務所は「大阪府の担当者は、土地以外の生徒募集を一番懸念されているようですが」と伝えています。小池氏は指摘しました。
小池 こういうやりとりを森友側と近畿財務局がやっているわけですね。そして、籠池理事長は月額賃料の希望は月100万円という希望をだし、籠池氏の希望通りの価格になっていく。こういう経過と昨日私が紹介した部分も含めて、これは鴻池事務所の記録に書かれている近畿財務局と森友学園側のやりとりについて全部調査し、その調査結果を当委員会に提出していただきたいと思います。
「陳情整理報告書」には、2016年3月11日、くい打ち工事で地下埋設物が発見され、籠池理事長が鴻池事務所に相談に来て、「小学校用地の件、近畿財務局の対応に不満。3月15日に本省に行く。アポをお願いしたい」との記載がありますが、鴻池事務所はこのアポ取りを断っています。しかし、3月15日に、財務省の本省で理財局の審理室長が籠池理事長と会っています。この経過を指摘して、小池氏は追及しました。
小池 政治家の仲介なしに、財務省の国有財産審理室長に簡単に会うことはできないと思う。鴻池事務所は拒否した。ならば、別の政治家の仲介があったんじゃありませんか。
理財局長 先方から新たな埋設物が出たということについて、本省に行って、会いたいということであれば、近畿財務局が現にいま交渉している案件ですので、それでは担当の審理室長がお会いしましょうということで3月半ばにお会いしたのが事実関係です。
小池 ありえないでしょう。財務省の室長が会うなんてありえない。これは政治家の仲介があるんです。答えてください。
理財局長 先方から理財局にアポの申し出があり、それを審理室長がお受けしたということで、そういう政治家の関与は一切ございません。
小池 一切ないという言葉をしっかり記録しておきたいと思います。
これはありえない話です。この3月に籠池理事長が理財局の国有財産審理室長に何を求めたのか。昨日の答弁では、局長は新たな地下埋設物が発見されたので、なるべく早く対応していただきたいというような要望が出されたと答弁しています。この対応って何ですか。この面談の翌週、3月24日に近畿財務局から大阪航空局に地下埋設物の撤去処分の見積もりを依頼しているんです。対応って、この対応ですか。見積もりを早くやれという。
理財局長 近畿財務局や大阪航空局との現場ともよく連携して対応してまいりたいとお答えしたということです。
小池 どういう対応、何を対応しようとしたのか、対応って何ですかと聞いているんです。対応の中身。
理財局長 とにかく学校建設がスムーズに進んで開校に間に合うように対応していただきたいという趣旨のことです。
小池 これはおかしいです。昨日、民進党の藤末(健三)議員がこの問題を取り上げて、財務省は急いでいたので、それまで実績のない大阪航空局に依頼したと答弁しているんですね。この大阪航空局の見積もりが8億1900万円ということが8億のダンピング、異例のダンピングの原因になっているわけじゃないですか。急いでやったから、こうなったといっているでしょ。籠池氏と財務省本省の面談内容も8億円の値引きの妥当性に関わる極めて重要な部分ではないですか。ここで、早くやってほしいという要望が伝えられて、航空局にやらせるようにというように話が進んでいったとしたら重大じゃないですか。その対応の中にこの地下埋設物の見積もりの問題が入っているんですか。
理財局長 何か具体的な見積もりとかそういうことの中身はございませんでした。
小池 だから、早く対応してほしいということがきっかけとなって、大阪航空局に依頼するという経過にもなったんじゃないですか。この面談内容も極めて重要だと思います。これは本省の面談です。本省の記録もないんですか。
理財局長 口頭でやりとりしたということで、記録はございません。
小池 記録もまったくないんですか。こういう問題が、記録がない、口頭でやったと。ちょっとずさん過ぎませんか。億単位の国民の財産を。あり得ない話ですよ。都合の悪いことは全部隠ぺいしているというふうにしか思えないし、おそらくテレビをご覧のみなさんもこれは隠しているんじゃないかと思わざるをえないような対応だと思いますよ。
森友学園からの働きかけ
自民議員を調査すべきだ
小池 与党の政治家に対して、森友学園側から働きかけがあったことは鴻池議員の証言によって事実であることはハッキリしたわけです。鴻池議員事務所の記録は、鴻池事務所が財務省本省に籠池氏を紹介することを拒否した昨年3月で終わっています。
しかし、その後に起こったことがさらに重大な問題なわけです。8億円の値引き、異例の10年間分割払い。これは疑惑の核心部分ですよ。鴻池議員によれば、籠池理事長側ではお金で財務省への働きかけを依頼しようとした。しかしそれを鴻池さんは拒否をした。ならばその後、ほかの政治家にそういう働きかけがあったのではないかと、普通そう考えますよ。
総理も財務省も政治家の関与はないというふうに言ってきたけど、新たな事実がでてきた。今までの、「関与がない」ということは通用しないと思います。
政治家の関与についてきちんと解明する責任が政府に、とくに総理大臣に、安倍さんにあると思います。この件に関わった財務省や国交省の担当者はすべて洗いざらい調査をして明らかにすべきではありませんか。自民党の中に、鴻池氏のように森友側から働きかけを受けた議員がいるのかどうか、徹底調査すべきじゃないですか。総理にそれを求めます。
安倍晋三首相 この問題の核心は、果たしてこの売買価格が適正であったかどうかということであろうと思うわけです。適正であったかということについては、独立した会計検査院がしっかりと検査をすべきだろうと。
小池 私は政治家の責任、関与を聞いているんですよ。会計検査院ではないでしょう。会計検査院がやっていただくのはいいですよ。でも、(総理が)できることはあるじゃないですか。私がいま具体的に申し上げた、国交省、財務省のみなさんの担当官、関わった人を洗いざらい全員調査すればいいじゃないですか。これはまさに自民党の中ですから、総理の責任でしょう。自民党の中に、鴻池氏のように働きかけをうけた議員がいるかどうか調査すべきだ。これもできないんですか。これはやるべきだと私は思います。
首相 政治家であれば、与党であれ野党であれ、自らえりを正していくことは当然のことであり、その観点から鴻池議員は、自ら記者会見を行ったということであろうと思います。そして私のことについては、この売買、あるいは学校法人の認可については、私も妻も、関わっていないということはすでに説明させていただいている通りです。
小池 総理は行政府の長であるとともに、自民党総裁なんです。だからこの問題について独自に解明する責任があるだろうと。政治倫理綱領になんとあるか。「疑惑をもたれた場合、自ら真摯(しんし)な態度を持って疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」と。それをやるのがあなたの責任なんじゃないですかと言っているんです。
首相 わが党について、誰か、どの議員が関わっていたかということになれば、それは当然しっかりと本人に説明責任を果たさせるわけでございます。不当な働きかけがあったかどうかについては、政治家であれば嫌疑をかけられたら、しっかりとその説明責任を果たしていくべきだろうと考えているわけであります。
小池 テレビの評論家じゃないんです。あなたは責任者なんですよ、総理は。今のはまったく責任者としての答弁じゃない。まるで第三者的、無責任な、人ごとな、まったくそれではダメですよ。
具体的に何をやるべきか。答えてください。それをやらないのか。やらないんですか。自民党の議員を調査する、国交省、財務省の担当者全員を調査する。やらないんですか。
首相 私自身のことにつきましては再三すでに申し上げている通りでございます。いずれにせよ国会議員が疑いをかけられたらしっかりと説明責任を果たしていくべきものと考えております。
小池 疑惑を解明しようという姿勢がまったくないと言わざるを得ない。疑惑にふたをするという姿勢しか見えてこない。こんなことでは国民は納得しないということを申し上げて質問を終わります。