2017年3月14日(火)
首相、過労死ライン容認
経団連・連合に 残業「月100時間未満」裁定
安倍晋三首相は13日、経団連の榊原定征会長、連合の神津里季生会長と首相官邸で会談し、残業時間の上限について「(月)100時間未満」とする考えを示しました。過労死ラインである「80時間(2カ月平均)〜100時間(1カ月)」もの長時間残業にお墨付きを与えるもので、安倍内閣の姿勢が問われます。
首相「裁定」は、繁忙期の月間上限について経団連と連合の間で意見が平行線をたどったのを受けて出されました。首相は「100時間未満とするようお願いした」ことを明らかにしました。
政府は残業時間を年間720時間とする案を示しており、月の上限も100時間まで認めるものです。720時間は、現在の残業の限度基準=大臣告示(年360時間)の2倍。月100時間は、限度基準(月45時間)の2倍以上で、過労死ラインの水準です。
政府案には「労働時間短縮の流れに逆行する」「限度基準を法定化すべきだ」との声が上がっています。
高橋まつりさんの母「強く反対します」
過労自殺した電通社員、高橋まつりさんの母幸美さん(54)は13日、1カ月100時間の残業を容認する案に対し、「過労死遺族の一人として強く反対します」とのコメントを出しました。「長時間労働は健康に極めて有害なことを政府や厚生労働省も知っているのに、なぜ法律で認めようとするのでしょうか」と批判しています。