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2017年3月29日(水)

主張

戦争法施行1年

危険は明らか、廃止こそ急務

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 安倍晋三政権が、憲法の平和主義と立憲主義を破壊し、強行成立させた安保法制=戦争法が、昨年3月29日に施行されてきょうで1年です。戦争法は、米軍が起こす戦争に、世界のどこでも、切れ目なく、自衛隊が参戦する道を開いた違憲の法制です。安倍政権は施行後、本格的な運用や具体化に乗り出しています。憲法9条の下、自衛隊が一人の戦死者も出さず、一人の外国人も殺さなかった戦後日本の平和国家としてのあり方を根本から変えようとする企てを許さず、戦争法を廃止することは、国政の緊急課題となっています。

運用加速の一方で矛盾も

 2015年9月に強行成立された戦争法は、自衛隊の海外での武力行使を可能にするため、▽「戦闘地域」での米軍などへの兵站(へいたん)の拡大▽戦乱が続いている地域での治安活動や「駆け付け警護」などの実施▽世界のどこでも米軍などを守るための武器の使用▽集団的自衛権の行使―という憲法9条破壊の仕組みを盛り込んでいます。平時から戦時まで、切れ目のない、世界規模での軍事協力を取り決めた日米新ガイドライン(15年4月)とともに、日本を「海外で戦争する国」に変えるのが狙いです。

 安倍政権は、戦争法の本格的な運用や具体化を、国民の批判を恐れて昨年7月の参院選までは先送りしていたものの、その後、一気に加速させました。

 南スーダンPKO(国連平和維持活動)の陸上自衛隊派兵部隊への「駆け付け警護」や「宿営地共同防護」の新任務付与、海外の「戦闘地域」で自衛隊が米軍などに弾薬補給や武器の輸送といった兵站を実施するための日米・日豪・日英物品役務相互提供協定(ACSA)の締結、自衛隊が米軍の空母や戦闘機などを警護し、攻撃を受ければ応戦する「運用指針」の決定と相次いでいます。戦争法で可能になった新任務の訓練も、日米演習や多国間演習への反映も含め次々と実施されています。

 同時に、戦争法運用の危険な現実と、「安全性」などを強調してきた安倍政権の説明との矛盾もあらわになっています。

 安倍政権は今月、戦争法に基づいて昨年11月に「駆け付け警護」などの新任務を付与した南スーダン派兵部隊を5月末に撤収させることを決めました。撤収の理由は活動に「一定の区切り」が付いたためで、治安悪化のためではないとごまかしています。

 しかし、防衛省・自衛隊ぐるみの隠蔽(いんぺい)疑惑が大問題になっている派兵部隊の「日報」が、昨年7月の首都ジュバでの大規模「戦闘」を指摘していたように、停戦合意や中立性など「PKO参加5原則」は完全に崩れています。派兵部隊が「駆け付け警護」を行えば、自衛隊員が「殺し、殺される」危険はさらに高まります。5月を待たず、速やかな撤収こそ必要です。

世論と運動の発展さらに

 安倍政権は、撤収を昨年9月ごろから検討していました。「駆け付け警護」などの新任務付与は、戦争法初の運用という実績づくりだけが目的だったことになります。国民の目から現場の実態を覆い隠し、戦争法の運用や具体化を急ぐのは危険極まりないことです。

 憲法違反の戦争法を廃止するための世論と運動を大きく発展させることが必要です。


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