2017年3月30日(木)
視覚障害理由の配転無効
岡山地裁 「合理的配慮欠く」
|
岡山短期大学(岡山県倉敷市)の山口雪子准教授(52)が視覚障害を理由にした事務職への配転命令の無効確認などを求めた裁判で、岡山地裁(義元貞彦裁判長)は28日、原告の訴えを認める全面勝訴の判決を出しました。
判決は、研究室を退去させ、事務をさせる命令に山口氏が従う必要はないとし、被告の短大側に110万円の支払いを命じました。また、被告の行為が裁量権を大きく逸脱して合理的配慮を欠いていると断じ、視覚補助を検討するように求めています。
山口氏は次第に視野が狭くなる遺伝性の難病で視覚障害があります。視覚補助職員が退職した2014年に短大から退職を促されたため、自費で視覚補佐員を雇用し、短大側も了承していました。16年2月、短大は山口氏に職務変更を命じ、その理由に「授業中飲食している学生に気付かなかった」ことなどを挙げていました。
判決後に記者会見した原告代理人の水谷賢弁護士は「基本的に主張が認められ、全面勝訴と認識している。裁判所が被告の不法行為を認めた点は大きい」と強調しました。
山口氏は「自分らしく生きるためにかけがえのない大学教員の仕事を認めてもらってうれしい。これからもへこたれず本分の授業に臨みたい」と述べました。
視覚障害者の大胡田(おおごだ)誠弁護士は「民間企業では視覚を失った人に対する配転がまかり通っているが、配慮を受けて仕事を続けられる希望になった」と話しました。
27日には、配転命令の効力を仮停止する仮処分が同地裁で決定されていました。