2017年4月12日(水)
JAS法改定案 「表示」が「広告」に
紙議員 目的が後退と批判
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農林物資の品質や生産方法を保証するJAS規格について定めた日本農林規格(JAS)法改定案が5日の参院本会議で日本共産党以外の賛成で可決し、衆院へ送られました。
改定案は、第1条(目的)から「消費者の需要に即した農業生産等の振興」を削除。「我が国農林水産業の国際競争力の強化を図る」として、JAS規格の対象に流通行程や取り扱い方法、試験方法を加え、認証を受けた事業者がJASマークを「広告等に付する」との規定も設けます。
本会議に先立つ4日の参院農林水産委員会で質疑と反対討論に立った紙智子議員は、第1条の文言削除を疑問視。2009年に「生産者と消費者をつなぐ役割」を明確化する趣旨で「公共の福祉の増進」から現行の文言に改正したと述べ、「それをなぜ削除するのか」とただしました。
農水省の井上宏司食料産業局長は「改正の経緯は答えられない」と答弁。紙氏は「消費者のためのJAS法」の目的が大きく後退すると批判しました。
紙氏は、「広告等に付する」の規定について、「消費者が品質を確認する権利を保障する『表示』から、商品を売るための『広告』へとJASマークの意義を変質させる」と批判。第1条から削除された「食品表示法と相まって」の文言の重要性も指摘しました。