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2017年4月17日(月)

主張

少子化と人口減

安心の子育て社会実現は急務

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 国立社会保障・人口問題研究所(厚生労働省所管)や総務省が先週、日本の人口についての推計を相次いで発表しました。いずれの推計も、少子化と人口減に歯止めがかかっていないことを改めて裏付ける内容です。安心して子どもを産み育てる社会になっていない現状は、未来にとって深刻です。男女ともに希望をもって子育てできる雇用のルールづくり、保育所の大増設など環境整備を抜本的に強めるなど、現状打開へ向け政治が役割を果たすことが急務です。

希望かなわぬ深刻な現実

 総務省が14日公表した昨年10月1日時点の人口推計は1億2693万人で、6年連続のマイナスでした。出生児数が前年より2万1千人減り100万4千人にとどまったのに対し、死亡者数が130万人だったことが主な要因です。

 社会保障・人口問題研究所が10日公表した「日本の将来推計人口」では、2065年の人口は8808万人になることを明らかにしました。前回の推計(12年)より、ややテンポは遅くなったものの、人口減と少子化がすすんでいる流れに大きな変化は見られません。

 社人研の推計では、合計特殊出生率(女性1人が一生で産む子ども数の推計)については、最近の傾向を踏まえ1・44としました。5年前の推計(1・35)より若干上回るとしたものの、人口維持に必要とされる2・07には届かず、フランスの1・99などと比べても低水準です。安倍晋三政権が掲げる「1億人維持」実現のための希望出生率「1・8」も極めて厳しいことを示しています。

 出産・子育ては、一人ひとりの人生の選択にかかわる問題であり、個人の自由と権利は何より保障されなければならないのは当然です。問題は、子どもを産み育てたいと希望する人たちにとって、働く環境や経済状況が「壁」となり、願いの実現を妨げている現実です。

 内閣府の調査では、「希望する人数まで子どもを増やさない・増やせない」という子育て世代の回答が4割を超えました。欧州の2割以下と比べ、日本の子育ての困難さを浮き彫りにする数字です。

 不安定で低賃金の雇用が広がる中、子どもの教育にお金がかかることが、若い世代に重くのしかかります。長時間過密労働が、結婚、出産、子育てを困難にする状況に追い込んでいます。長時間残業にお墨付きを与える安倍政権の「働き方改革」は、子育て世代の願いに完全に逆らうものです。

 毎年、春になると保育所に入れない「待機児」が大問題になるのは、子育てに冷たい日本の政治の姿を象徴しています。妊娠が分かった喜びもつかの間、「保活」に駆け回らなければならない社会は異常という他ありません。安心できる保育所の大増設に背を向け、17年度中の「待機児ゼロ」を放棄した安倍政権の責任は重大です。

「かけ声」では解決せず

 いくら「1億総活躍」とのスローガンを掲げても、従来の延長線上の政策焼き直しでは、深刻な現状を解決することはできません。

 人間らしく働ける労働のルールの確立、社会保障や子育てに優先的に税金を使う改革、富裕層・大企業に応分の負担を求める税金の集め方の改革―。これらの抜本的改革をすすめることは、少子化を打開し日本の未来を開くためにもますます重要となっています。


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