2017年4月30日(日)
主張
ヒバクシャ国際署名
核兵器禁止へ 世界を動かす
国内外の被爆者9人が連名で呼びかけた「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(「ヒバクシャ国際署名」)が開始され4月末で1年を迎えました。国連の会議で「核兵器禁止条約」の実現に向けた画期的な動きが生まれる下で、「すみやかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶこと」を求める、この署名への注目と共感が広がっています。
画期的流れ促進させる力
国連会議は7月7日までに「核兵器禁止条約」の採択をめざしています。3月の第1会期では、参加した被爆者の訴えが各国政府の間に大きな感動を呼び、「ヒバクシャ国際署名」にも期待が寄せられました。
キム・ウォンス国連軍縮担当上級代表は、国連会議に参加した日本共産党の志位和夫委員長との懇談で「核保有国にこの交渉に参加するよう促すためには、世界の世論の広がりが必要です。署名運動はその重要な一つです」と語りました。被爆者の体験にもとづく訴えが、核兵器の非人道性を広げ、禁止条約を実現する大きな力となってきました。核保有国をさらに追い込んで禁止条約を実現し、廃絶への道をひらいていく上で、署名は重みを増しています。
今後、核保有国とその「核の傘」に依存する国々の巻き返しや妨害が強まることが予想され、予断を許しません。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮とトランプ米政権との軍事的緊張も、外交的に解決することが強く求められます。逆流を打ち破るため、反核平和の世論と運動の発展は不可欠です。
「ヒバクシャ国際署名」は40近くの国々から172万人分が集まっています。6月の国連会議・第2会期に向け、さらなる飛躍が急がれています。国連会議のエレン・ホワイト議長は日本原水協や被爆者との懇談で「みなさんの証言と市民社会の力がわれわれに力を与えてくれていることを感謝したい」と述べた上で、「6月にも多くの署名を持って参加してほしい」と語りました。核兵器禁止条約をめざす諸国は、困難を乗り越え、前進していくためにも、国際的な世論の強力な後押しを必要としています。
情勢は、日本政府が被爆国にふさわしい役割を果たすことを強く求めています。それだけに、米国などの核保有国に追従し、禁止条約の国連会議に参加しないと決めた日本政府の姿勢には、内外から失望と批判が集まっています。
全国の県知事・市町村長の「ヒバクシャ国際署名」への賛同は570人(19日現在)に広がっています。保守の首長や議員も署名に共感し、署名行動の先頭に立つ知事や市長も登場しています。被爆者の熱い訴えに応え、過去のいきさつを超えた共同が実現し、多彩な団体や個人が参加するなど、思想信条、党派を超えた行動が、各地で生まれています。日本政府の態度は、署名に賛同した、こうした広範な国民の意思と根本から矛盾せざるをえません。
国民的な大運動へ発展を
署名の最終的な目標は、「2020年までに世界で数億人」です。当面の運動の飛躍とともに、「核兵器禁止条約」の実現から核兵器の廃絶へと、日本も世界も変える規模の国民的な大運動に発展していくことが何よりも期待されます。