2017年5月7日(日)
首相の発言・責任 焦点に
連休明け国会 「共謀罪」めぐり緊迫
大型連休明けの国会は、8日に衆院で、9日に参院でそれぞれ安倍晋三首相出席のもと予算委員会が開かれます。東日本大震災で被災したのが「東北でよかった」という暴言で辞任に追い込まれた今村雅弘前復興相の任命責任をはじめ、憲法を踏みにじる安倍政権の暴走政治との対決が焦点です。安倍首相は憲法9条に自衛隊を明記した新憲法を2020年に施行したいと発言(3日)するなど明文改憲に前のめり。違憲立法の「共謀罪」法案をめぐるせめぎあいも激しさを増します。
今村前復興相は以前から、福島原発事故による自主避難者に「故郷を捨てるのは簡単」「(帰還は)本人の責任」と暴言を繰り返してきました。このような人物を任命したばかりか、その暴言を野放しにし、根本にある被災地切り捨て政策を進めてきた安倍首相の責任は重大です。
安倍首相は3日に開かれた改憲派の集会に寄せたメッセージで、「自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきだ」と発言。明文改憲の時期だけでなく、憲法9条をあげて、内容にも深く踏み込みました。
憲法に自衛隊を明記すれば、これまで政府が主張してきた「自衛のための必要最小限の実力」という「自衛隊合憲論」の枠も外れます。無制限に海外で武力行使できる道が開かれ、9条の基本精神が根本から崩されることになります。明文改憲に執念をもやす安倍首相の策動とのたたかいが、いよいよ正念場となっています。
「共謀罪」法案をめぐっては、内心を処罰するという危険な本質が審議を通して浮き彫りになっています。ところが、与党は、衆院法務委員会の鈴木淳司委員長(自民)が野党との合意もなく職権で2日に委員会開会を強行。野党がこれに抗議し、民進党が委員長解任決議案を提出するなど、緊迫した情勢が続きます。
「森友」解明に背向ける首相
北朝鮮問題も焦点
学校法人「森友学園」への国有地格安売却問題では、取引の異常性を示す数々の資料・証言に加えて、同学園の籠池泰典前理事長と財務省幹部が面談した際の録音記録の存在まで判明。交渉で、籠池氏は首相夫人・昭恵氏の名前を挙げ、財務省幹部はこの件は「特例」などと発言していたことがわかりました。
籠池氏は先月末、財務省との交渉状況は昭恵氏に「適時電話で報告していた」とも発言しています。
安倍首相は国会で「(国有地払い下げなどに)私や妻が関係していたとなれば、総理大臣も国会議員もやめる」とまで語ってきました。国民は解明を求めています。
ところが、政府・与党は真相解明に向けた昭恵氏の証人喚問に一貫して反対。財務省は音声記録については事実確認すら拒否するという無責任な態度を取り続けています。疑惑解明に背を向ける安倍首相自身の態度が厳しく問われます。
北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる日本政府の対応も焦点です。米トランプ政権は対北朝鮮政策として軍事的選択肢を取ることも排除していません。安倍首相は、トランプ米大統領との電話会談で、トランプ氏の姿勢を高く評価。北朝鮮での緊迫した情勢を口実に、安保法制=戦争法に基づく「米艦防護」を実施するなど、軍事的緊張をあおる姿勢を際立たせています。こうした対応も厳しく問われています。