2017年7月21日(金)
五輪会場の新国立競技場
23歳現場監督 過労自殺
地盤改良工事 残業月200時間超
東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場建設の地盤改良工事の現場監督をしていた都内の建設会社の男性社員=当時(23)=が3月に自殺したのは、残業が月200時間を超えるなど過重労働が原因として、遺族が労災を申請したことが20日、明らかになりました。代理人の川人博弁護士が記者会見しました。
新国立競技場は、ズサンな工事費膨張で旧計画が白紙撤回されたため、当初計画より1年余遅れで着工し、急ピッチで工事が進められています。
男性の両親は「工期の遅れを取り戻そうとして厳しい管理を要求されていたのだと思います。同じように過労で命を落とすような人を出したくない」とのコメントを発表。
川人氏は「工事現場では多くの労働者が長時間労働を余儀なくされている。国家的行事だからといって労働者の命と健康が犠牲になることはあってはならない。関係者は速やかに改善措置をとるべきだ」と強調しました。
男性は昨年4月に入社し、同12月から施工管理業務に従事。今年2月からは、朝4時半に起きて深夜零時以後に帰宅するようになりました。3月2日から行方不明となり、4月15日に長野県内で遺体で発見。「身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした」と書かれた遺書がみつかりました。
会社は当初、遺族に「残業時間は労使協定の範囲内」と説明しましたが、遺族側の調査で、失踪前1カ月で約211時間、2カ月前で月約143時間にのぼる時間外労働が確認されました。7月12日に労働基準監督署に労災を申請しました。