2017年7月29日(土)
核のゴミ処分“適地”公表
政府 自治体押し付け狙う
原発の使用済み核燃料の再処理で出る高レベル放射性廃棄物(「核のゴミ」)の最終処分地選定をめぐって政府は28日、調査対象となりうる地域を示した初の全国地図を公表しました。見通しの立たない核のゴミの処分を市区町村に押し付けるためのものです。
近くに火山や活断層がないことなどを基準に全国を4色に塗り分け、処分場として「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」と区分した地域を濃い緑色と薄い緑色で示し、面積で全体の約65%になるとしています。中でも海岸から20キロ以内で「輸送面からも好ましい」地域は濃い緑色で、含まれる市区町村は約900と全国の自治体の半数になるといいます。
一方、東京都心や大阪府中心部、処分場の受け入れを「選択肢の一つ」と町長が発言した佐賀県玄海町の大部分は、「好ましくない特性があると推定される」とされました。地下資源の存在などを理由にしています。
核のゴミは、「トイレなきマンション」と呼ばれる原発の行き詰まりの現状を表す象徴で、最終処分地の選定は、住民の強い反対の前にまったく見通しは立っていません。政府は、2015年に「国が前面に立って」取り組むなどとする新たな方針を決定。しかし、原発の再稼働で核のゴミを増やし続ける政策を推進するなど無責任な政策を続けており、処分地をめぐる国民的な議論をする前提を欠いたままです。(関連記事)