2017年7月31日(月)
下村元文科相のパー券 大臣規範抵触も
“学校の許認可にプラス” “補助金獲得陳情の一環”
安倍晋三首相の友人が理事長の学校法人「加計(かけ)学園」(岡山市)側から200万円のパーティー券購入が問題になっている自民党の下村博文元文部科学相。現職閣僚のときに、関係政治団体の「博友会」が、他の学校法人からもパーティー券購入をうけていました。本紙が入手した博友会の内部資料をもとに、学校法人側に購入理由をきくと―。
「法人で購入したのは事実だ。下村氏と面識はないが、文科大臣は許認可にからむので、断らなかった。学校の許認可にプラスになるし、補助金獲得の陳情の一環として渉外費から出している」
2014年に2万円分のパーティー券を購入したある学校法人の理事は言います。この理事は「実は政治資金パーティーとは知らなかった。パーティーの案内状をみて通常のセミナーだと思っていた」と続けます。
都内の学校法人は「下村氏は、教育行政、とくに高等教育改革・奨学金拡充などについてさまざまな発言をされており、パーティーに参加することで深く早く考えを知ることができる」と法人で購入した動機を説明します。
大規模パーティー
別の学校法人の事務長は「案内はきたが学校法人なので、購入していない。役員が個人的に購入したのではないか」といいます。
いずれも学校法人に案内がきたことは共通していました。
博友会の政治資金収支報告書によると、東京プリンスホテルで開かれた14年10月14日の政治資金パーティーでは、約1950万円を集めていました。かかった経費は、約400万円。売り上げの8割近くが利益という高い収益率です。
文科省関係者は「省内で大臣規範に抵触するのではないかという指摘があったが、下村氏は“問題ない”とした」と証言します。
閣議決定された「大臣政務官規範」は、「政治資金の調達を目的とするパーティーで、国民の疑念を招きかねないような大規模なものの開催は自粛する」としています。収入が1000万円以上のパーティーは、政治資金規正法で「特定パーティー」とされ、大規模の目安になっています。
政治資金収支報告書に記載がないものもあります。内部資料には14年に、国家戦略特区で千葉県内に医学部を設立した大学の理事長名とともに「有志」として40万円分の記載があります。
氏名など記載なし
政治資金規正法では20万円を超えるパーティー券販売や集金の「あっせん」をしたものは、氏名などを収支報告書に記載するよう定めています。しかし、博友会の収支報告書には理事長名も大学名もみあたりません。この大学は本紙にパーティー券購入を「確認できませんでした」と回答しています。
前出の文科省関係者は指摘します。「現職大臣なので、どうしても教育業界から資金が集まりやすい。現職の政治資金パーティーは問題がある」