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2017年8月2日(水)

新国立建設現場監督の過労自殺

組織委は長時間労働禁止の規定

問われる国・大成建設の責任

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 2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場建設現場(東京都新宿区、渋谷区)で働いていた、現場監督の男性=当時(23)=が過労自殺した問題で、大会組織委員会が長時間労働禁止など適正な労働環境を確保する規定を定めていたことが1日、本紙の調べで分かりました。安倍晋三首相は、建設計画の指示にあたり「内閣で責任をもってすすめる」と表明し、関係閣僚会議で進捗(しんちょく)状況の報告を受けており、その責任が問われます。(田代正則)

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(写真)長時間労働の禁止などを定めた東京五輪大会組織委員会の「持続可能性に配慮した調達コード」

 新国立競技場の建設工事を発注しているのは独立行政法人「日本スポーツ振興センター(JSC)」。元請けは大手ゼネコンの大成建設(東京都)です。

 過労自殺した男性は、大成の1次下請けで現場監督をしていました。遺族の労災申請などによると、残業時間を労使で取り決めた「三六協定」の月80時間に収まるよう過少申告が行われていました。自殺したと推定される失踪日3月2日まで1カ月の残業時間は、211時間56分にのぼりました。

 組織委は、大会準備・運営にあたる事業者が順守すべき規定「持続可能性に配慮した調達コード」を策定(基本原則16年1月、第1版17年3月)。これはオリンピック憲章が、「持続可能な発展」の観点から大会開催を要請していることを受けたものです。

 調達コードは、「長時間労働の禁止」の項目をもうけ、違法である場合はもちろん、「健康・福祉を害する長時間労働」もさせてはならないと明記。事業者にサプライチェーン(下請けの連鎖)を含めて順守するよう要請しています。組織委自身が順守状況を確認し、改善を要求して適切に取り組まない場合は契約解除があり得ると記載しています。政府に対しても、調達コード尊重を求めています。

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(写真)朝早くから労働者が集まる新国立競技場の建設現場=1日午前6時25分、東京都新宿区

 組織委は、本紙の取材に「本件(長時間労働)の事実関係については、組織委員会もJSCに照会を行っています」と答えました。

 JSCは「調達コードがあることは大成建設に案内しているが、JSCの事業が(調達コードの)順守対象というわけではない」と回答。しかし、JSCは木材調達や、建設現場のセキュリティー(防犯)管理などについては、組織委の規定に従っています。


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