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2017年8月6日(日)

原水爆禁止2017年世界大会

国際会議宣言

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 5日、原水爆禁止2017年世界大会・国際会議が採択した「国際会議宣言」(全文)は次の通りです。


 広島と長崎にアメリカの原子爆弾が投下されてから72年を経た今年7月7日、ついに核兵器禁止条約が採択された。第1回原水爆禁止世界大会(1955年)以来、被爆者とともに、核戦争阻止、核兵器廃絶と被爆者援護・連帯の実現を求めてきた我々は、歴史的な条約採択を心から歓迎し、新たな決意で「核兵器のない平和で公正な世界」の実現をめざして前進することを誓う。

 核兵器禁止条約は、被爆者と世界の人々が長年にわたり熱望してきた核兵器完全廃絶につながる画期的なものである。

 条約は、核兵器について破滅的な結末をもたらす非人道的な兵器であり、国連憲章、国際法、国際人道法、国際人権法に反するものであると断罪して、これに「悪の烙印(らくいん)」を押した。核兵器はいまや不道徳であるだけでなく、歴史上はじめて明文上も違法なものとなった。条約が、「ヒバクシャ」と核実験被害者の「受け容(い)れがたい苦痛と損害」を心に留め、核兵器廃絶を推進する「市民的良心の役割」の担い手として「ヒバクシャ」を明記したことは、「ふたたび被爆者をつくるな」と訴えてきた被爆者のたたかいを正当に評価したものである。

 条約は、開発、生産、実験、製造、取得、保有、貯蔵、使用とその威嚇にいたるまで、核兵器にかかわるあらゆる活動を禁止し、「抜け穴」を許さないものとなった。核保有国の条約への参加の道を規定するなど核兵器完全廃絶への枠組みを示したことも重要である。同時に、被爆者や核実験被害者への援助をおこなう責任も明記され、被爆国、被害国の国民の切望に応えるものとなった。核兵器禁止条約は、「核兵器のない世界」をめざす戦後70年余の世界のたたかいが結実したものである。

 世界には、いまだに15000発の核兵器が存在して、人類生存への脅威となっている。ひきつづき核戦力の開発、近代化がすすめられ、核兵器使用の危険も依然として高いままである。さまざまな地域での緊張が核兵器の使用につながる懸念も高まっている。我々はすべての国にたいし、核兵器の非人道性と、その禁止・廃絶が世界の平和と安全に不可欠であることを直視し、すみやかに核兵器禁止条約に参加することを訴える。そして条約が禁止した活動をただちに中止し、永久に放棄することを要求する。

 条約が核兵器の使用とともに、その威嚇を禁じたことは、核兵器を保有する最大の根拠とされている「核抑止力」論を否定するものである。我々は、核保有国が、「核抑止」政策を見直すこと、同盟国がこれに依存する政策を放棄すること、「核の傘」から離脱することを求める。

 核兵器禁止条約の実現から、核兵器完全廃絶と「核兵器のない平和で公正な世界」に向かって、さらに前進しなければならない。

 この条約そのものが有する力を活(い)かしていくことが何より必要である。条約に反するあらゆる活動が、国際社会の非難の対象となる。核兵器を違法とする法的規範が確立されたことによって、条約への参加を拒んでいる国も、政治的、道義的な拘束から免れることはできない。さらには、核大国の世界的規模での核戦略を制約し、破たんさせる可能性もある。

 核兵器禁止条約を実現させた諸国政府・国連と市民社会の共同をさらに発展させることが、いっそう重要となる。禁止条約のもとで、世論と運動を発展させる新たな条件が生まれている。原水爆禁止世界大会は、世界の反核平和運動とともに、諸国政府と国連の代表も参加して、交流、共同を進めてきた。この方向で、国際的な世論を広げていくことは、核保有国とその同盟国に対して、核兵器に固執する政策を放棄するよう迫る大きな力となる。

 核兵器完全廃絶への前進にとって決定的なのは、核保有国とその同盟国において、禁止条約を支持する国民的多数派をつくり、世論と運動で政府に調印・批准させることである。米英仏は「締約国にはならない」と強く反発し、他の核保有国も「ステップ・バイ・ステップ」で進むべきと不参加の態度を表明している。これらの国々で、核兵器禁止条約への態度を問い、参加を迫る世論を広げることが求められる。

 こうした声と行動を合流していくことが、「核兵器のない世界」への大きな前進を可能とする。

 国際合意に反する北朝鮮の核・ミサイル開発は、世界と地域の平和にとって重大な脅威であり、断じて許されない。すべての当事国は、すみやかに外交的・平和的解決にふみだすべきである。すべての軍事的威嚇や挑発が直ちに停止されなければならない。我々は、核兵器禁止条約の精神にたって、北朝鮮に核開発の中止とその放棄をつよく求める。非核兵器地帯の実践と強化、新設など地域的な努力も重要となっている。

 被爆国である日本政府が、核兵器禁止条約への参加を拒んでいることに、被爆者をはじめ失望と憤りが広がっている。我々は日本政府が、アメリカの「核の傘」から脱却し、すみやかに条約に調印することを訴える。憲法の平和原則の破壊、海外での戦争に参加する態勢の強化に、広範な国民がたちあがっている。沖縄では、米軍新基地建設に反対する県民ぐるみのたたかいが発展している。我々は、憲法を守り生かし、非核平和の日本をもとめる運動に連帯を表明する。

 核兵器禁止条約実現の土台には、被爆者とともに歩んできた世界の反核・平和の運動の「草の根」の力があった。今後の帰趨(きすう)を決めるのもまた、世界諸国民の世論と運動である。我々は、以下の行動をよびかける。

――すべての国が速やかに核兵器禁止条約に参加し、核兵器の完全廃絶に取り組むことを求める世論を大きく発展させよう。9月20日から26日の期間、「草の根」からの多彩な行動をつなぐ世界同時行動(「平和の波」)を行うことを提唱する。

――核兵器の非人道性と核兵器完全廃絶の必要性をひろげる対話と宣伝を強めよう。被爆者の証言活動、原爆写真展をはじめ被爆体験の継承をすすめ、核兵器禁止条約についての学習を重視しよう。条約でも重視された平和教育をいっそう推進しよう。

――全世界で2020年までに世界数億を目標にとりくまれている「ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名」(「ヒバクシャ国際署名」)を大きく発展させよう。

――核兵器禁止条約の調印開始(9月20日)、「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」(9月26日)、国連総会第一委員会、核軍縮に関する国連総会ハイレベル会合(2018年)、NPT再検討会議準備委員会などを機会に、諸国政府・国連と市民社会の共同を発展させよう。

――被爆者への援護・連帯をすすめ、国家補償を実現しよう。被爆二世・三世の運動を支援しよう。核実験被害者への支援を求めよう。原発事故被災者の救済と原発ゼロを求める運動との連帯を発展させよう。枯葉剤、劣化ウラン弾などの戦争被害者を支援しよう。

――反戦・平和、沖縄はじめ外国軍事基地の縮小・撤去、軍産複合体との闘い、軍事費削減と生活・雇用・福祉の向上、貧困と格差の解消、気候変動防止と地球環境保護、性差別はじめあらゆる差別の克服、平和の文化の発展などをめざす運動と連帯しよう。

 核兵器禁止条約は、核兵器の完全廃絶を訴える被爆者と市民社会の運動の役割を強調した。被爆者とともに、いまこそ未来をきりひらこう。「核兵器のない平和で公正な世界」への扉が開かれたいま、若い世代とともに、その実現に向けて意気高く歩んでいこう。

 2017年8月5日


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