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2017年8月8日(火)

核兵器禁止から廃絶へ――禁止条約にサインする政府をつくろう

広島 志位委員長の演説

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 日本共産党の志位和夫委員長が5日、広島市内で行った街頭演説の全文は以下の通りです。


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(写真)訴える志位和夫委員長=5日、広島市中区

 広島のみなさん、こんにちは。ご紹介いただきました日本共産党の志位和夫でございます(拍手)。今日はたくさんのみなさんが足をとめ、聞いてくださいまして、まことにありがとうございます。(拍手)

 広島、長崎に原子爆弾が投下されてから、72年目の夏がやってまいりました。原爆は二つの美しい都市を一瞬のうちに破壊し、子どもからお年寄りまで罪もない多くの人々を殺りくし、今日にいたるも多くの被爆者の方々を苦しめています。

 私は、原爆で犠牲になった方々に心からの哀悼の気持ちを申し上げるとともに、「核兵器のない世界」を実現するために力を尽くすことを、この場でお約束したいと思います。(拍手)

広島のみなさんとともに、歴史的壮挙を喜びたい

 7月7日、ニューヨークで行われていた「国連会議」は、人類史上初めて核兵器を違法化する核兵器禁止条約を、国連加盟国の約3分の2、122の国の賛成で採択しました。私は、その歴史的な現場に立ち会いました。採択の瞬間、議場を揺るがす拍手と歓声が起こりました。各国の代表も市民社会の代表も抱き合って喜びました。議場は「ついに歴史が動いた」という感動に包まれました。

 核兵器禁止条約採択のニュースは、多くの広島のみなさんも、同じ喜びの思いで聞いたのではないでしょうか(拍手)。私はまず、広島のみなさんとともに、この歴史的な壮挙を喜びたいと思います。(大きな拍手)

 私は、日本共産党代表団の団長として、3月に行われた「国連会議」の第1会期、6〜7月に行われた第2会期の大詰めの時期に、2回にわたってニューヨークに行きまして、「国連会議」に参加してまいりました。今日は、広島のみなさんに、ご報告を兼ねてお訴えをさせていただきたいと思います。どうか最後までよろしくお願いいたします。(拍手)

被爆者の参加は会議成功の「推進力」だった

 この「国連会議」はこれまでにない画期的な特徴を持っていました。それは、この会議が各国政府代表と市民社会代表の双方によって構成された会議となったということであります。

 市民社会の役割を重視することは国連のよい伝統となっていますが、国連の核軍縮交渉の会議で市民社会代表を会議の正式の構成員として認めたのは、今回が初めてのことです。世界から120を超える政府代表とともに、100を超える市民社会の代表が会議に参加し、会議の成功のために肩をならべて力をあわせました。

 市民社会の代表の中でも、とりわけ会議の成功に大きな貢献をしたのが、被爆者のみなさんでした。

 幼児の時期に広島で被爆した藤森俊希さん(日本被団協事務局次長)は、家族を失い、瀕死(ひんし)の重傷を負った体験を語り、「私が奇跡的に生き延び、国連で核兵器廃絶を訴える。被爆者の使命を感じます。同じ地獄をどの国のだれにも絶対再現してはなりません」と訴えました。広島で被爆したカナダ在住のサーロー節子さんは、「将来世代だけでなく、広島や長崎で亡くなった人々の魂の声を感じとっていただきたい。この条約は世界を変えるし、変えられます」と訴えました。被爆者のみなさんの発言には、議場から割れんばかりの拍手がわき起こりました。

 多くの政府代表が、被爆者が会議に参加し、発言したことへの感謝と感動を語りました。エレン・ホワイト議長は、条約が採択された後の記者会見でこう述べました。

 「被爆者が出席してくれたことは、この会議の交渉を成功に導く推進力でした。それはすべての(政府)代表を感動させ、人間の魂に訴えかけるものでした。それは理性とハートを結ぶプロセスでした」

 彼女自身の感動が伝わってくる発言です。核兵器を法的に禁止する条約ですから、筋の通ったものが必要です。そこには世界の理性を結集する必要があります。しかしそれだけではなく、ハートが大切です。魂を揺り動かすものが必要です。それを被爆者の発言は与えてくれたという発言であります。被爆者の声が世界を動かした――これが「国連会議」に参加しての私の強い実感であったということを、みなさんにご報告したいと思うのであります。(大きな拍手)

 被爆者のみなさんは、1956年、日本原水爆被害者団体協議会――日本被団協を結成したさいに、「世界への挨拶(あいさつ)」という結成宣言を発表しています。いま読んでも、みずみずしい生命力にあふれた感動的な宣言です。そこには、被爆者のみなさんの思いがこう書かれています。

 「私たちは自らを救うとともに、私たちの体験をとおして人類の危機を救おうという決意を誓い合った」

 自らの被爆のつらい体験、核兵器がいかに残酷で非人道的なものかを語り続け、「ふたたび被爆者をつくるな」と訴え続け、ついに世界を動かした被爆者のみなさんに、私は、心からの敬意と感謝を申し上げたいと思います。(大きな拍手)

日本共産党――被爆国の政党として、広島・長崎の声を国連に届けた

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(写真)志位和夫委員長の報告を聞く人たち=5日、広島市中区

 日本共産党も、市民社会の一員――核軍縮・不拡散議員連盟(PNND)という世界100カ国以上の国の国会議員が超党派でつくっているネットワークの一員として、「国連会議」に参加しました。

 3月の第1会期で私たちは、国連に「要請文」と「文書発言」を提出し、38の国・機関と個別に要請・懇談を行いました。さらに私は、短いものですが、日本共産党として初めて、国連で公式の演説を行うこともできました(拍手)。私たちが要請した中心点は次のような内容です。

 「核保有国の参加を追求しつつ、仮に最初はそれが得られなかったとしても、賛成する諸国の政府によって核兵器禁止条約を早期に締結しよう。条約の内容は核兵器廃絶の詳細な手続きを定めるものでなく、まず禁止条約を一致できるところから作成し、核兵器廃絶への一歩を踏み出そう」

 これが日本共産党の要請の中心点でした。

 この内容は、多くの参加国に共有されました。その方向で国連会議が進行し、国際的英知を結集して、歴史的条約が実を結びました。この点で、日本共産党は、会議成功に向けて一つの貢献ができたと考えるものであります。(拍手)

 日本からの参加という点では、日本被団協、日本原水協などのみなさんが参加し、被爆体験を語り、国際署名を届け、会議成功に大きな貢献をしました。しかし、日本の政界という点でいいますと、日本政府はこの歴史的会議をボイコットしました。日本の政界からの参加は日本共産党だけになりました。私たちの活動は、唯一の戦争被爆国で活動する政党として、日本国民の声、広島・長崎の声を国連に届けたという点でも、意義ある活動だったと考えるものであります。(「いいぞ」の声、拍手)

核兵器の非人道性を告発、人間味あふれ、温かい血のかよった条約

 それでは、採択された核兵器禁止条約の内容はどのようなものでしょうか。率直にいいまして、それは私たちの最初の予想を超えたものとなりました。「すごい条約ができあがった」。これが私の感想です。現時点で考え得る最良の内容になったと、私たちは考えています。いくつかの重要なポイントをご報告したいと思います。

 まず条約の「前文」ですが、ここには条約の思想が書き込まれています。そこでは、核兵器の非人道性を厳しく告発し、国連憲章、国際法、国際人道法にてらして、核兵器は違法だという太い論理が述べられています。核兵器がいかに非人道的なものかは、被爆者のみなさん、広島・長崎のみなさん、日本の原水爆禁止運動が戦後一貫して訴えてきたことですが、それがついに国際社会の共通認識となり、条約に書き込まれたのであります。

 それから条約の「前文」には、「ヒバクシャ」という言葉が2カ所にわたって出てきます。一つは、「ヒバクシャにもたらされた容認しがたい苦難と損害に留意する」。被爆者の苦しみに心を寄せた記述です。もう1カ所は、核兵器廃絶を推進する「市民的良心」の担い手として、「ヒバクシャ」が明記されています。すなわち、被爆者は耐え難い犠牲をこうむった存在というだけではなくて、「核兵器のない世界」をつくるクリエーター=創造者として条約に明記されているのです。

 これは、被爆者のみなさんが戦後歩んだ、苦難はあるが気高い道のりを、正当に評価したものではないでしょうか。長崎で被爆した和田征子さん(日本被団協事務局次長)は、「国連会議」での発言で、「人間味あふれる条約案を感動と大きな喜びをもって歓迎します」とのべました。まさにその通りです。この条約は人間味あふれ、温かい血の通った条約になったということを、ご報告したいと思います。(拍手)

核兵器は「使用の威嚇」も含めて全面的に禁止され、違法化された

 条約第1条は、条約全体の「心臓部」(ホワイト議長)です。核兵器の法的禁止の内容を定めています。核兵器の「開発、実験、生産、保有、使用、使用の威嚇」などが禁止されています。核兵器の「使用の威嚇」の禁止は、5月に発表された原案にはありませんでした。議論の過程で挿入することが決まりました。とても大切な修正です。

 核兵器保有国や同盟国は「核抑止力」論という議論を唱えています。それは核兵器の「使用の威嚇」――“いざというときには核兵器を使うぞ”という脅しによって安全保障をはかろうという考え方です。「核抑止力」論に対して、「国連会議」では、さまざまな角度からの批判が集中しました。

 オーストリアの代表はこういう趣旨の発言をしました。“核兵器が安全保障にとって有益なら、多くの国が核兵器を持てばより安全な世界になるということになる。全部の国が持てば、一番安全ということになる。そんな議論を信じるわけにはいかない。核兵器は少ないほうが、そしてない方が、世界にとって一番安全なのだ”。まさにここに真理があるのではないでしょうか。(「そうだ」の声、拍手)

 「核抑止力」論という核兵器にしがみつく最大の口実を禁止したことは大きな意義をもつと考えます。

 こうして核兵器禁止条約は、抜け穴を許すことなく、核兵器を全面的に禁止するものとなりました。核兵器に「悪の烙印(らくいん)」がどんと押されました。核兵器は、非人道的で、反道徳的なものであるだけでなく、ついに違法なものとなったのであります。(「おーっ」の声、大きな拍手)

世界と日本のたたかい、広島・長崎の声がつくった条約

 条約第4条は、核兵器完全廃絶にむけた枠組みが述べられています。核保有国が条約に参加する二つの道が書かれています。一つは、核兵器を廃棄したうえで条約に参加する。もう一つは、参加したうえで核兵器を速やかに廃棄する。廃棄が先でも、参加が先でも、どちらでもOKなのです。「核兵器のない世界」をつくるためには、核保有国の参加がどうしても必要ですが、核保有国に参加の門戸を広く開いているのが、この条約の特徴だということも、ご報告したいと思います。(拍手)

 もう一つ、この条約の画期的なところは、被爆者援護が明記されたということです。条約第6条は、被爆者への支援、核実験の被害者への支援を「差別なく十分に提供する」ことを締約国に義務づけています。それだけではありません。これも討論で補強された点ですが、条約第7条は、核兵器使用で被害を与えた加害国は、被害国に対して「支援を提供する責任」があると明記したのです。将来、アメリカがこの条約に参加した場合には、被爆者のみなさんへの支援の責任ということが問われることになってくるでしょう。核軍縮条約で、被害者への支援が明記されたのは、この条約が初めてであるということを、みなさんにお伝えしたいと思います。(拍手)

 戦後、日本の原水爆禁止運動は、核戦争阻止、核兵器禁止・廃絶、被爆者援護・連帯――この三つの柱を掲げ、不屈にたたかってきました。この三つは、広島、長崎のみなさんが一貫して願ってきたことでもあると思います。核兵器禁止条約には、その内容が全面的に盛り込まれました。この条約は、戦後70年余の世界と日本のたたかい、そして広島・長崎の声がつくりあげた条約であることをみんなの確信にして、さらに前に進もうではありませんか。(大きな拍手)

国際政治の「主役交代」――「小さな国」が「大きな役割」を発揮

 「国連会議」には、21世紀の世界の新しい姿が現れました。

 一つは、国際政治の「主役」が交代したということです。国際政治の「主役」が、一握りの大国から、多数の国々の政府と市民社会に交代しました。

 かつての核兵器問題の交渉といえば、アメリカと旧ソ連など「超大国」が中心でした。しかし今回の「国連会議」は、文字通りの世界の多くの国々の政府と市民社会が主役になりました。まさに「主役交代」であります。

 そこに現れた世界は、どんなものでしょうか。一言でいって、国の大小で序列のない世界であります。

 「国連会議」では、コスタリカ、オーストリア、アイルランドなど、「小さな国」が「大きな役割」を発揮しました。エレン・ホワイト議長は人口400万人のコスタリカの外交官です。素晴らしい采配で会議を大成功に導きました。

 人口800万のオーストリアの活躍も印象的でした。オーストリアは2014年にウィーンで、核兵器の非人道性についての国際会議を開催し、「国連会議」の開催に道を開く重要な役割を果たしてきた国です。オーストリア代表の「国連会議」での発言は、率直で、きわめて説得力に富んだものでした。

 “私たちはウィーンで国際会議を開き、被爆者の話を聞き、専門家から話を聞いた。私たちは、核兵器に関わる危険性について非常に大きな過小評価をしていたことを学んだのだ。こうして私たちは、今日この場に集う旅へと導かれた”

 こういう発言でした。自分たちは核兵器の危険性を十分に理解していなかった。そのことを実に率直に語り、核兵器禁止条約の必要性を訴えたのです。私たちは、オーストリアのトーマス・ハイノッチ国連大使と会談する機会がありましたが、大使が、オーストリアが国をあげて核兵器廃絶にとりくんでいることを静かな口調で、同時に情熱的に語ったことに強く感動しました。

 今の世界で大切なのは国の大小でありません。経済力の大小でもありません。ましてや軍事力の大小なんかではありません。世界の道理にかなった行動をしている国は、「小さな国」でも信頼され、尊敬され、「大きな役割」を発揮することができます。反対に、道理にかなっていない行動をしている国は、いくら大国だと威張ってみせても本当の信頼を得ることはできません。一番悪いのは、他の国の言いなりになっている国で、何を言っても相手にされません。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 世界のすべての国々と市民社会――世界の民衆が、対等・平等の資格で、国際政治の「主人公」となる新しい世界が到来している。その姿を、「国連会議」は生きた形で示したのであります。(拍手)

核兵器にしがみつく逆流、 追随する日本政府が追い詰められた

 もう一つは、核兵器にしがみつく逆流がいよいよ追いつめられたということです。

 彼らは敵意をむき出しにして、「国連会議」に反対を唱えました。3月27日、「国連会議」の第1会期が始まった日に、米国のニッキー・ヘイリー国連大使をはじめとして約20の国の大使が、議場の外にならんで「条約反対」を叫びました。7月7日、核兵器禁止条約が採択されますと、アメリカ、イギリス、フランス3カ国の国連大使が共同声明を出して、「条約反対」を叫びました。彼らは、核兵器禁止条約は「非現実的だ」「無力だ」「一発も核兵器を減らせない」などと言いました。しかし私は問いたい。「無力」なものだったら、なぜわざわざ、そんな異常な「反対」を叫ぶのか。「反対」を叫んでいる自分たちの行動そのものが、核兵器禁止条約に大きな力があるということを証明するものではないでしょうか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 この逆流に追随する日本政府の惨めな態度が浮き彫りになりました。日本政府は、3月の第1会期の初日、出席することは出席したのですが、「交渉に参加しない」と言い捨てて退席してしまいました。参加者の批判と失望が渦巻きました。被爆者のみなさんは「心が裂ける思い」「母国に裏切られた」と厳しい批判を語りました。

 第1会期のある日のことです。会議が終わった後に、私たちが会場の後ろから空席だった日本政府の席を見ますと、何か大きなものが置いてある。何だろうと思って、席に行ってみますと、大きな折り鶴が置いてありました。そこには、「あなたがここにいてくれたなら」と書かれていました。NGOのみなさんがつくったものとのことでした。「被爆国の政府なのになぜあなたはここにいないの」「あなたにここにいてほしい」。これが多くの参加者の共通した思いだったのです。

 私は、「国連会議」で行った演説で、「日本政府がこの議場にいないことはたいへんに残念なことです。しかし、被爆者の方々と日本国民の大多数が『国連会議』を強く支持していることは明らかです」と表明しました。日本政府の態度は、唯一の戦争被爆国の政府にあるまじき、あまりにも恥ずかしい態度ではないでしょうか。(大きな拍手)

北朝鮮問題の解決のうえでも、禁止条約は大きな力を発揮する

 核兵器にしがみつく勢力が最大の口実にしているのが北朝鮮の核開発であります。“北朝鮮が核開発をしているときに、禁止条約をつくるというのは時期が悪い”。こういうことを言います。

 しかしこういう出来事が起こりました。「国連会議」で条約が採択されようというちょうど同じ時期に、国連安保理が開かれていて、北朝鮮問題が議論されておりました。その国連安保理の場で、理事国の一つであるウルグアイが次のように語ったのです。

 「現在、(別の会議室で)核兵器禁止条約が採択されようとしている。残念ながら、北朝鮮も核保有国もそこにいない。より安全な目標はそこにある」

 こう語った。みなさん、これが真実ではないでしょうか(拍手)。北朝鮮に核開発を放棄させるうえでも、国際社会が核兵器禁止条約を結び、核兵器を違法化し、「悪の烙印」を押す。これが大きな力になることは明らかではないでしょうか(拍手)。日本政府の立場を考えても、日本政府がこの条約に参加して、“もう日本は「核による安全保障」という考えを放棄した、だからあなたも放棄しなさい”――こう北朝鮮に迫ることが、一番強い立場に立つことになるのではないでしょうか。(大きな拍手)

禁止から廃絶へ(1)――核兵器禁止条約そのものがもつ力

 核兵器禁止条約の採択は新たなスタートであり、私たちのゴールは「核兵器のない世界」の実現です。私は、7月7日、ニューヨークで声明を発表し、「核兵器禁止から廃絶へ、三つの力をあわせて進もう」と呼びかけました。

 第1の力は、核兵器禁止条約そのものがもつ力です。たしかに核保有国と同盟国はまだこれに参加していません。「実効性がない」という人もいます。しかし決してそうではない。122もの国が賛成して条約を採択し、核兵器に「悪の烙印」を押し、違法化したことは、条約に参加していない核保有国やその同盟国をも、政治的・道義的に拘束する。核に依存する政策を続けることに対する大きな圧力になることは明らかではないでしょうか。(拍手)

 また、この条約では、自分の国の領土に、他国の核兵器を配備することを禁止しています。さらに、核を積んだ飛行機が飛来したり、核を積んだ船が寄港したりすることも事実上禁止されることになります。こうして、核兵器の持ち込みを禁止することによって、核保有大国の核戦略の手を縛る可能性もあるのです。

 私たちは、核兵器廃絶に進む強力な法的規範を手にすることができたのであります。(拍手)

禁止から廃絶へ(2)――「ヒバクシャ国際署名」を数億の規模で

 第2の力は、この条約をつくりあげた世界の多数の諸政府と市民社会の力です。この力をさらに発展させ、核兵器にしがみつく勢力を包囲していくことが、核兵器廃絶に進む根本の力になります。

 「ヒバクシャ国際署名」がいま取り組まれています。3月、私が、ホワイト議長と会談した際、署名簿を渡して「国際署名」の話をしたところ、彼女は胸に両手をあてて聞き入り、「それは私にとって強さを与えてくれるものです。これだけ多くのメッセージがあることを知り、感動しました」と語りました。

 3月には、セルジオ・ドゥアルテ元国連軍縮担当上級代表とも会談をしました。私が「ヒバクシャ国際署名」の話をしますと、ドゥアルテさんはその場で、「とてもいい。私も署名します」、こう言ってペンを取り出して、私たちの見ている前で署名しました。

 6月、被爆者代表のみなさんが、296万の署名目録をホワイト議長と中満泉国連軍縮担当上級代表に手渡したとき、ホワイト議長は涙ぐみ、目を真っ赤にして、条約採択への決意を語ったと聞きました。

 いま日本と世界で取り組まれている「ヒバクシャ国際署名」は、まさに核兵器禁止・廃絶交渉の最前線で頑張っているみなさんにとっての何よりもの励ましになっている。「ヒバクシャ国際署名」の一筆一筆が核兵器廃絶に進む力となっている。これを世界で数億の規模で集めることを、呼びかけたいと思います。(大きな拍手)

禁止から廃絶へ(3)――禁止条約にサインする政府をつくろう

 それにくわえてもう一つ大事な点があります。第3の力は、一つひとつの核兵器保有国と同盟国で、核兵器禁止・廃絶を世論の多数にし、政治的力関係を変え、核兵器禁止条約に参加する政府をつくるということであります。(拍手)

 私は、日本政府が、これまでの態度を改め、核兵器禁止条約にサインすることを真剣に検討することを、強く求めるものであります。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 同時にみなさん、彼らがサインをしないというのだったら、私たちの手で、サインをする政府をつくろうではありませんか。(「そうだ」の声、大きな拍手)

 私たちはこの間、野党と市民の共闘で日本の政治を変えるとりくみを進めてきました。私は、野党と市民の共闘の大事な課題の一つとして核兵器禁止条約を位置づけることを提案していきたいと考えていますが、いかがでしょうか(大きな拍手)。野党と市民の共闘を発展させ、核兵器廃絶を求める世界の本流の先頭に立つ政府をつくろうではありませんか。(大きな拍手)

 このことを訴えまして、私の話を終わりにさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(大きな拍手)


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