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2017年8月11日(金)

客室乗務員配置で国連機関

「非常口に1人」推奨

不十分な国内基準 労組が増員要求

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 航空の平和利用や安全運航の国際ルールを作成・運営している国連専門機関、国際民間航空機関(ICAO)が、緊急事態に備えて非常口1カ所につき1人の客室乗務員を配置すべきだと推奨していることが分かりました。日本の配置基準は、すべての非常口に1人の客室乗務員がいない場合があり、労働組合などから増員を求める声があがっています。

 (田代正則)


 『ICAOジャーナル』電子版の2017年最新号によると同機関は、最小限搭乗させるべき客室乗務員数の設定について、新マニュアルを作成しました。

 ICAOがつくった客室安全グループによる非常口ごとに客室乗務員を配置すべきだという研究に基づき、新マニュアルでは、実証テストなどで客室乗務員の配置を決める手法を説明。ICAO加盟国に案内しています。

 同誌は「乗務する客室乗務員の人数と彼らの任務遂行能力は、航空機からの緊急脱出を成功させるうえで重要な要素となる」と強調。脱出の際、1人の客室乗務員が2カ所の非常口を担当するのは困難だとしています。

 日本の基準は客席50に対して客室乗務員1人を搭乗させるもの。航空機の種類によっては、1人で非常口2カ所を担当する場合があります。

 国交省航空局運航安全課の担当者は「新マニュアルは、参考資料として出されたもので、義務付けられた国際標準ではない。義務付けられたものに、しっかり対応したい」と答えました。

 日本航空(JAL)の客室乗務員でつくる日航キャビンクルーユニオン(CCU)によると、日航では、最新型のボーイング787型機(非常口8)国際線で7人という便があります。ボーイング737型機(非常口4)国内線に客室乗務員3人編成という便があります。ICAO推奨への対応について、JAL広報は「回答はありません」と答えました。

 全日空(ANA)では広報によると、主に国際線に使用される787型機で客室乗務員7人編成があり、主に国内線に使用される737型機で3人編成があります。「国の規定になっていないので、(配置見直しは)検討していない。機内サービスのため客室乗務員を増員している場合は、緊急時には脱出補助を行います」(広報)としています。

 航空各社の客室乗務員でつくる航空連客室乗務員連絡会は長年、1機に搭乗する客室乗務員数を増員し、最少でも航空機のドア数と同数とするよう求めています。CCUは、パイロットの日航乗員組合とともに、人員不足を解消して空の安全を守るため、2010年に解雇・退職させたパイロットと客室乗務員の職場復帰・再雇用を求めています。

 1985年8月12日に乗客乗員520人が犠牲となった日航ジャンボ機墜落事故の痛苦の経験からみても、日本の航空各社と行政の姿勢が問われます。


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