「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2017年9月18日(月)

ドイツ総選挙

政策論戦 争点が不明確

有権者の4割 投票先未定

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 24日投票のドイツ総選挙。二大政党間の政策論争が盛り上がらず、争点が不明確なまま推移しています。メルケル首相のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が、シュルツ前欧州議会議長率いる社民党(SPD)に支持率で大きく水をあける状況は変わりませんが、15日発表の世論調査で4割の人が投票先を決めかねています。左翼党は最終盤で五つの重要争点を提起し、有権者に現状変革の道を示そうとしています。(ベルリン=伊藤寿庸)


 メルケル首相は2015年、シリアなどから欧州へ渡る難民が急増した際、すぐに受け入れを決断。福島第1原発事故後の原発撤退、今年6月の同性婚合法化の採決容認(首相本人は反対するも可決)など、従来の中道右派の枠を超えた政策で支持を広げました。

 社民党は、メルケル氏が首相を務めた12年間のうち09年〜13年を除く8年間で「大連立」の与党。社民党主導の政権樹立を目指して、メルケル首相の政策を批判しようとしても、「それを決めた時に社民党の閣僚もいましたよ」とメルケル首相に反論されるなど、四苦八苦しています。

 投票前に1回しか行われないメルケル、シュルツ両者のテレビ討論(3日)は、「次期政権の首相と副首相の討論」、「次の大連立の条件交渉」と評されるほどでした。社民党は支持率の低下から、歴史的大敗となる危険を指摘されています。

 前回の選挙で議席を失った新自由主義派の自由民主党(FPD)は議席回復が濃厚。環境派の緑の党は、伸び悩んでいます。政策的には対照的な両党ですが、州によってはそれぞれCDUと連立政権を組み、今年5月には北部の州で3党連立政権を誕生させました。このため総選挙後、3党連立の可能性も指摘されています。

 メルケル首相の退陣を求める党は、左翼党と、極右の「ドイツのための選択肢」(AfD)だけ。AfDは、メルケル首相の遊説先で、ブーイングやトマトを投げるなどの抗議行動を続け、主要候補が人種差別的発言や、ナチスを免罪するような発言を繰り返しています。


左翼党 五つの政治変革呼びかけ

 左翼党は11日、五つの政治変革を呼びかける政策を発表しました。現状に不満を抱く人々に左翼党への支持を呼びかけ、連邦議会初進出を狙う極右政党に警戒を呼びかけています。

 政策は、「多くの人が、選挙に行くべきか、どの党を選べばいいのかわからないでいる」と指摘。選挙戦の対決点は「変えようとしてかえって悪くする変種を伴う旧態依然の政治か、社会政策で現状を打破する政治か」の選択だと訴え、5項目を提起しました。

 第1は、課税最低限の引き上げ、富裕層による負担分担による連帯的健康保険の導入、不安定雇用の克服など手取り収入の増大策。

 第2は貧困克服への福祉給付や年金の増額。生活保護(ハルツIV)を最低生活保障の1050ユーロに置き換える提案も含まれます。

 第3は、国民皆保険と民間保険の「二階建て」となる健康保険を、所得水準にかかわらず全員加入の連帯健康保険制度への統一。

 第4は、住居は人権だとし、家賃の上限設定や、公共住宅の大量建設、住宅対象の投機の規制。

 第5は、軍備縮小や、海外派兵の中止、ドイツ国内からの米国の核兵器撤去などの平和政策。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって