2017年11月9日(木)
追及 アパート商法の闇
レオパレス21 契約無視の強引手法
家賃収入減 家主悲鳴
大手不動産業者がオーナー(家主)から賃貸住宅を一括して借り上げ、入居者に転貸する「サブリース契約」で、トラブルが相次いでいます。業界大手の「レオパレス21」(本社、東京都)では、オーナーへの強引な家賃減額が問題となり、国会でも取り上げられる事態になっています。(原千拓)
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「問題はレオパレス21の契約不履行とそのやり方です」。同社に勧誘されてアパートを建てた前田和彦さんは指摘します。前田さんは同社に建物を貸す所有者団体「LPオーナー会」の代表です。
家賃保証のはずが
同社は、地主に相続税対策などとして賃貸住宅の建設を提案。「全室を30年間借り上げ、空き室でも家賃保証し、地主は一定の家賃収入を得られる」と説明し、サブリース契約をすすめます。
「契約から10年間は同社からオーナーに払われる家賃は変わらないという契約でした。実際には契約から10年未満で減額されたオーナーが推定1万人以上います」と前田さん。契約6年目で一部屋6000円減額され、家賃収入が15%減ったというオーナーもいるといいます。
一体どうやって家賃を減額するのか―。
前田さんによると、同社は賃貸住宅近隣の家賃相場がより安いことを理由に、さまざまな手法で減額を迫ります。
―「倒産しそうだ」と深夜におよび泣きついてくる。減額を断ると「倒産したら経営できますか」と脅迫ともとれる言動をしてくる。
―反社会勢力と見まがう容姿で訪れ、机を叩いたり怒鳴ったりする。「減額しなければ裁判する」と迫る。
業者の登録は任意
日本共産党の宮本岳志議員は、衆院予算委員会(2013年4月)で、同社が「終了プロジェクト」と名づけ、大幅な家賃減額を提示してオーナーから解約を申し出るようにしむけていることを明らかにし、抜本対策を政府に求めました。
国土交通省は昨年9月にサブリース事業者を監督するための賃貸住宅管理業者登録制度を改正。しかし任意登録のため、大手業者の中では、管理戸数で業界3位(16年)のレオパレス21だけが登録していません。
前田さんは「土地を所有する70代の高齢者がターゲットで、多くの方が被害にあっています。これ以上被害を拡大させたくありません」と訴えます。
同会顧問の澁谷歩弁護士は「契約締結時には『近隣の相場家賃の考慮』はまったく入っていません」として、こう指摘します。
「『減額に応じないと契約を解約する』など法的に誤った説明や、高齢のオーナーが『返事は後で』と頼んでも帰らないなどのやり方に問題があります」
本紙の取材に株式会社レオパレス21は「(オーナーの)同意を頂戴した上で減額をしており、不当に減額した事実はありません」と回答しました。
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対策強化が必要
宮本岳志議員の話
安倍晋三政権がすすめるマイナス金利、低金利政策のもとで不動産業に資金が流れ込みやすくなり、サブリース契約による消費者問題が拡大しています。国交省の登録制度は任意で罰則もなく不十分です。借り主は業界大手で、知識、交渉力という点で強者です。登録を法制化するなど対策を強化すべきです。