2017年11月16日(木)
罵倒の張り紙に批判
山形大でパワハラ 調査委設置
職組が写真で告発
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国立山形大学で、パワハラ、非常勤教職員雇い止め、違法残業などの労働問題を解決しようと労働組合が奮闘しています。
職員へのパワハラ事件について、小山清人学長は15日、山形市のキャンパス内で会見しました。山形大職員組合の告発を受けて、事件を調査するキャンパスハラスメント特別対策委員会を設置したと発表しました。それまで同大学は、パワハラ事件の存在自体を認めていませんでしたが、組合の取り組みが是正へ一歩動かしました。
パワハラが横行していたのは、リチウムイオン電池研究施設xEV飯豊研究センター(山形県飯豊町)。相談を受けた山大職組によれば、教授が女性職員にハサミを投げつける、退職する職員に対して退職の損失分を高額な寄付金で支払うよう強要する、などの事例がありました。
パワハラについて大学窓口に相談した非常勤職員は、今年3月末で雇い止めになりました。パワハラに耐えかねた2人が今年退職しています。
山大職組は3度にわたって大学当局にパワハラ問題を質問しましたが、大学側は「個別の案件については、その存否を含めて回答いたしかねます」と、事件の存在を認めませんでした。職組は9日、研究センター長が職員を罵倒したとみられる「役立たず」「ボケが!!」などと書き殴られた貼り紙の写真4枚を公表し、市民の批判が集まりました。
15日の会見で、小山学長は、「相談者はパワハラとはいわず、職場環境の改善をしてほしいということだった。改善されたと報告を受けていたので、組合の写真を見て、私自身、驚いている」などと説明しました。
14日付での特別対策委員会の設置を発表したものの、メンバーが何人で誰なのかは非公開。結果報告の公表についても難色を示しました。
山大職組が学内のハラスメント防止制度が機能していないと指摘していることについて、小山学長は「参考にしながら、変えるところは変えていく」と答えました。
山大職組の品川敦紀委員長(理学部教授)は、「職員の訴えは、一般的な職場環境問題ではなく、パワハラ問題です。きちんと是正させるため、調査結果についても組合に教えるよう求めていきます」と話しています。
非常勤職員に適用されている1年更新の有期契約は、パワハラ告発者に対する雇い止めに悪用されました。山大職組と、東北非正規教職員組合、首都圏大学非常勤講師組合は、有期契約を5年継続した希望者全員を無期契約に転換するよう大学に要求しています。