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2017年11月19日(日)

主張

COP23閉幕

日本は後ろ向き姿勢を改めよ

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 ドイツのボンで開かれていた国連気候変動枠組み条約第23回締約国会議(COP23)は、2020年以降の温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」の運用ルールづくりの協議加速や温室効果ガス削減目標の上積みを促す仕組みなどについて合意し、閉幕しました。18年12月にポーランドで開かれる予定のCOP24での運用ルール決定に向けて、それ以前に追加の会合をもつことで一致するなど、パリ協定の実施に踏み出す方向への一歩となりました。

パリ協定の枠組み維持し

 昨年発効したパリ協定は、世界の平均気温の上昇を工業化前(1850年ごろ)に比べて2度未満に抑え、1・5度をめざすという目標を掲げています。今回は、6月に米国のトランプ政権がパリ協定からの脱退表明後、初めて開催されたCOPとなりましたが、締約国がパリ協定に沿って進む道を改めて確認したことは重要です。

 温暖化対策は待ったなしの課題です。今回の会合ではカリブの小国アンティグア・バーブーダの首相が巨大ハリケーンの直撃を受ける前に一つの島の全員を避難させざるをえなかった深刻な事態を訴えるなど、多くの国が問題の緊急性を繰り返し強調しました。世界はこれ以上、手をこまねいているわけにはいきません。

 トランプ政権のパリ協定脱退には、多くの国々やNGOから批判が上がっただけでなく、米国内の各州や企業などからも異議が出される動きが、この会合でも示されました。トランプ政権の国内外での孤立ぶりは一段と鮮明になっています。「先進国」から途上国への資金支援をめぐる問題などの課題もありますが、パリ協定の枠組みを維持し、前進させることの必要性を浮き彫りにしています。

 COP23開催中、カナダとイギリスが主導し、「脱石炭に向けたグローバル連盟」が発足したことは注目されます。フランスやイタリア、北欧諸国に加え、米ワシントン州を含む25の国や州なども参加し、石炭からの段階的な撤退、クリーンエネルギーの推進などをめざすというものです。

 「脱石炭」の流れに逆行しているのが日本政府です。日本は、環境NGOが温暖化対策に消極的な国に与える「化石賞」にまたも選ばれるなど、トランプ政権の「大化石賞」と並び国際的に厳しい批判を浴びました。先の日米首脳会談で、途上国で石炭火力と原発の技術を展開する覚書を確認したことなどがその理由です。

 日本国内40カ所以上で石炭火力発電所の新規建設を推進するだけでなく、東南アジア諸国での石炭火力発電所建設を官民一体ですすめている安倍晋三政権の姿勢は重大です。建設計画と輸出計画を見直し、中止を検討すべきです。

エネ基本計画の撤回を

 COP23の合意を受け、各国は温室効果ガスの大幅削減に向け、真剣な取り組みが求められます。とくに安倍政権は、各国と比べて極めて低い削減目標を大きく引き上げることを行うべきです。原子力とともに、石炭を「重要なベースロード電源」に位置付けている「エネルギー基本計画」の撤回と見直しは不可欠です。「脱石炭」がすすむ世界の温暖化対策の流れに日本が取り残されることがないように、エネルギー政策の根本的な転換が必要です。


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