2017年12月23日(土)
2018年度政府予算案について
小池晃書記局長が談話
日本共産党の小池晃書記局長は22日、2018年度政府予算案について、次の談話を発表しました。
一、本日、安倍内閣が決定した2018年度の政府予算案は、大企業優先で暮らしに冷たい「アベノミクス」をさらに進めるとともに、9条改憲策動に合わせて、いよいよ本格的に歯止めなき大軍拡への一歩を踏み出す重大な予算案となった。
一、医療・介護などの社会保障予算の「自然増」分は今回も1300億円削減され、安倍政権の6年間で小泉内閣時代を上回る1・6兆円もの大幅削減となった。とりわけ、13年度から3年連続で切り下げられた生活保護費のさらなる削減を打ち出したことは重大である。「格差と貧困」の是正を求める国民の声に背を向け、富裕層の金融所得への優遇税制を聖域としながら、貧困層にはいっそうの負担を強いる安倍政権の姿勢は断じて容認できない。
一、安倍首相が総選挙で「国難」とまであおりたてて公約した「幼児教育・保育無償化」「大学学費の負担軽減」などは、消費税増税を予定する19年度以降に先送りされた。その一方で、文教予算は4年連続でマイナスとなり、生活保護の母子加算や0〜2歳児の児童養育加算も削減された。「子育て応援」のうたい文句とはまったく逆に、教育と子育てに冷たく、「貧困の連鎖」を助長する予算となっている。中小企業対策費や農林水産予算、地方交付税なども軒並み削減され、「地方創生」どころか地域経済の疲弊を加速させるものである。
一、「生産性革命」3カ年計画の初年度予算としているが、その内実は、いっそうの大企業向けの優遇策である。「賃上げ」や「IoT投資」を口実にした企業減税をはじめ、高速道路には1・5兆円もの財投資金が14年ぶりに投入され、国際コンテナ戦略港湾など大型公共投資の予算も増額された。原発再稼働と核燃料サイクル推進の予算も温存された。
一、軍事費は6年連続の増額で5兆1911億円となったのに加えて、17年度補正予算案でも2345億円が追加された。地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」導入関連経費、墜落事故を起こしたオスプレイ、ステルス戦闘機F35、新型空中給油機、無人偵察機グローバルホークなどの兵器が増強される。とりわけ、長距離巡航ミサイル導入のための関連経費を計上したことは、日本が初めて「敵基地攻撃能力」を保有する布石となるもので重大である。補正予算への「ミサイル防衛」予算計上とあわせて、際限のない軍拡につながる危険な予算である。日米地位協定で義務づけられていない米軍への「思いやり予算」、辺野古新基地建設などの米軍再編経費も大幅に増額され、SACO経費を含めた米軍関係3経費は過去最高の4180億円となった。
一、安倍内閣の予算案は、国民の暮らしに冷たく、富裕層・大企業を優遇する政治で貧困と格差をさらに拡大するとともに、「戦争をする国」づくりを予算の面から推進するものである。国民に“貧困と戦争”をもたらす亡国の予算と言わなければならない。日本共産党は、憲法を守り、生かす政治への転換をめざして、政府予算案の抜本的な組み替えを要求するものである。