2018年1月20日(土)
人々の力で悪夢に終わりを
ICAN フィン事務局長
都内での講演(要旨)
核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長(35)が16日、東京都内でおこなった講演(要旨)を紹介します。
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日本に来て、日本人が非常に大きな情熱をもって核兵器を廃絶したいという声をあげていることに大変感動しました。みなさん方の情熱がICANを非常に勇気づけてくれています。
人類は、大量殺りく、大量破壊する兵器を廃絶したいと努力してきました。しかし、いまでも核兵器によって生存が脅かされています。私たちの世代で解決しなければなりません。
まず政治的な意思をつくりあげることです。何百万人もの無辜(むこ)の市民を無差別に殺すための兵器だということを政治家に理解させ、力の象徴ではなく、恥の象徴だと認識させなければなりません。
実際に現実を見てみると、核戦争の危険性はこれまで以上に増していると思われるかもしれません。アメリカは核兵器を使えるようにしようと思っています。北朝鮮も核兵器を発射させようと脅しています。
しかし、私たちは良いニュースを持っています。私たちはいよいよ、核兵器を禁止するところに近づいてきているからです。
昨年は122カ国が国連において核兵器禁止条約を採択しました。そして50カ国が署名をし、実際に批准されることによって、発効することになります。
政治的地位失う
国際的な条約によって非合法化された兵器は、政治的な地位をなくしていきます。各国それぞれの国会や市民社会の意見により、今後この核兵器を持つべきではないという声が高まってくるからです。
これは、困難ですが、必ず達成できます。多くの人々が声をあげ、核兵器に反対し核兵器を廃絶しようという動きにすれば、政府を動かすことができます。
日本政府はほかのどの政府よりも核兵器の悲惨さをより多く理解しているはずです。広島・長崎に起こったようなことが、他の都市でも繰り返されていいと日本政府は思っているのでしょうか。
日本は核軍縮のリーダーになってもらいたい。そのためにも、禁止条約に参加しなければなりません。
日本は民主主義国家なのですから、当然市民の願いに政府は応えなければなりません。みなさんこそが首相の“ボス”、上司にあたるのです。ですからみなさんが声をあげ、団結し、連帯すれば政府は無視することができなくなります。もし現在のリーダーがわれわれの希望を聞かないのならば、別のリーダーを選ばなければいけません。
核兵器をこれからも維持し、使おうという国を孤立させなければいけません。核兵器禁止を現実のものにするのは人間です。
これまでの歴史の中で核兵器の使用にもっとも近いのは今です。核兵器を廃絶するというところに近づいているのも今です。ですから、われわれは希望をもつことができます。
行動選択しよう
私たちは、待つことに嫌気がさしました。行動を選びましょう。科学者も含め、さまざまな人が、核兵器を廃絶することは難しいということをくどくど話していることも、聞き飽きました。だから、自分たちの手でテーブルをつくることにしたのです。
核兵器がわれわれを破壊する前に、私たちが核兵器に終わりを告げなければなりません。われわれは、人びとの力によって、これまで核兵器がもたらした悪夢に終わりを告げることを信じています。