2018年1月21日(日)
安倍首相とノルウェー首相
核兵器禁止条約の採択実現に貢献してノーベル平和賞を受賞した「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が訪日を終えました。事前に要請していた安倍首相との面会は実現しませんでした。首相が「日程の都合上難しい」と断ったためです。
ここで思い起こされるのが、ノーベル平和賞授賞式が行われたノルウェーのソルベルグ首相の対応です。同国は米国主導の軍事同盟、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国。政府は核兵器禁止条約に「署名しない」という立場です。
ソルベルグ首相は昨年12月の授賞式に出席しましたが、フィン氏らの演説で核兵器禁止条約の署名を求める部分には拍手をせず、地元メディアで批判の的になりました。それでも同首相は、授賞式の翌日、フィン氏らと面会しました。
受賞者との面会は慣例のようですが、今回の相手は核兵器禁止条約の推進者であり、NATOの国としては悩ましいところです。会えば「なぜ署名しないのか」と詰問されることは分かっていたはず。それにもかかわらず、首相は面会し、共同記者会見を開いて、立場の違いはあると言いつつも受賞に祝意を伝えました。
安倍首相の面会拒否は他の米国の同盟国と比べても異常です。「橋渡し役」どころか、完全に核保有国の立場に立った首相と非難されても仕方ないでしょう。(島田峰隆)