2018年1月29日(月)
衆参代表質問から見えたもの
安倍暴走転換迫った共産党
安倍晋三首相の施政方針演説に対する各党の代表質問が24日から3日間、衆参両院の本会議で行われました。野党は、安倍政権が成立を狙う「働き方改革」関連法案や北朝鮮問題をはじめとした外交姿勢、改憲問題などをただしました。しっかりとした軸足を示して安倍政権の暴走と真正面から対決した日本共産党の姿が鮮明になりました。
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「働き方改革」
政府のごまかし追及
安倍首相が最重要課題とする「働き方改革」関連法案。日本共産党の志位和夫委員長と小池晃書記局長は衆参の代表質問で、「徹頭徹尾財界の立場に立った『働かせ方大改悪』」(志位氏)であることを追及しました。
目玉とされる「高度プロフェッショナル制度」(残業代ゼロ法案)は、一定の年収の労働者の労働時間、休憩、割増賃金などの規制を適用除外にします。志位氏は「どんなに働いても残業代はゼロ。労働時間規制もなくなる」と批判しました。
残業時間の上限規制も、「繁忙期は月100時間という『過労死水準』の残業を容認するもの」(志位氏)です。企画型裁量労働の拡大は、メディアや商品開発などに限られていた裁量労働(みなし時間分の賃金しか払わない)を営業職にも拡大。「低賃金と過労死の温床を広げるだけ」(小池氏)の大問題です。
野党各党は、残業代ゼロ法案、裁量労働制の拡大などへの反対で一致しています。
立憲民主党の枝野幸男代表は「サービス残業という違法行為がまん延する中で、悪用されるおそれが大きい」と批判。民進党の大塚耕平代表は「過労死を誘発する大改悪になる」と指摘し、社民党の福島瑞穂副党首は「過労死ラインをはるかに超える残業時間を許して、何が働き方改革か」と訴えました。
希望の党の玉木雄一郎代表も「労働者のためではなく、人件費削減の観点から導入されようとしている」と反対しました。
安倍首相は「多様な働き方を選択できる社会を実現する」として関連法案を強引に押し通そうとしています。
安倍政権の軍拡路線
他の野党からも批判
地球温暖化防止のための国際的枠組み「パリ協定」離脱やエルサレムのイスラエル首都認定などトランプ米大統領の無理無体な政策に主要国が距離を置く一方、異常な「トランプ・ファースト」を際立たせている安倍政権。日本共産党は、この対米従属外交の転換を正面から迫る論戦を展開しました。
沖縄県で相次ぐ米軍機の事故について志位、小池両氏は、すべての米軍機の緊急総点検と飛行停止を日本政府が米国に要求することとともに、普天間基地の無条件撤去や辺野古新基地建設の中止などを求めました。
小池氏は、北朝鮮への先制的な軍事力行使を示唆する米国と「100%ともにある」として「対話否定論」にしがみつく安倍政権の態度を根本から改めるよう求めるとともに、核兵器を全面的に禁止する核兵器禁止条約への参加が「北朝鮮に核開発の放棄を迫る大きな力になる」と強調しました。安倍首相は「核抑止力論」にしがみつき、条約に「参加できない」と明言しました。
安倍政権が導入を決めた長距離巡航ミサイルなどについて、志位氏は「政府が憲法の趣旨から持てないとしてきた攻撃的兵器そのものだ」と批判。民進・大塚氏は「一般的には攻撃的兵器で安保環境に緊張をもたらす」と懸念を表明しました。立民・枝野氏も「専守防衛に反しないのか」とただしました。
安倍首相は「自衛隊の装備の質的向上を図るものだ」と居直り「憲法上保有が許されない兵器との指摘は当たらない」と弁明。志位氏は「従来の憲法解釈をなし崩し的に変更し、『海外で戦争する国』づくりを進めることは断じて認めるわけにはいかない」と厳しく批判しました。
憲法9条
安倍改憲に反対
安倍首相が年内にも国会発議を狙う9条改憲に対し、「9条改憲のあらゆる企てを許さず、9条を生かした平和日本を築くために、思想・信条の違いを超えて力を合わせる」(志位氏)と対決姿勢を鮮明にしたのが日本共産党です。
志位氏は「9条に自衛隊を明記すれば、9条2項の空文化=死文化に道を開き、海外の武力行使が無制限となる」と安倍改憲の危険を鋭く告発。小池氏は「憲法9条のもとでの戦後の日本の歩みを、どう評価しているのか」と安倍首相の歴史認識を真正面からただし、「憲法に基づく政治の実現こそわれわれの責任だ」と力を込めました。
他の野党も、9条改憲に強い意欲を示す安倍首相に対して、それぞれの立場から反対を表明しました。立民・枝野氏は、安倍首相の憲法観を「特異な認識」と指摘し、「まっとうな議論ができるはずがない」と表明。無所属の会の岡田克也代表も「平和主義をあいまいにしたまま、9条の改正を行うことはありえない」と批判しました。
一方、希望・玉木氏は「立法事実がない9条改憲案には反対」と明言する一方で、「意味ある憲法論議をリードしていく」と改憲議論をあおっています。また、日本維新の会の下地幹郎政調会長は「両院の憲法審査会をフル回転させて、憲法改正の発議に向けた協議を前に進めよう」と安倍改憲を後押し。連立与党の公明党は、山口那津男代表、井上義久幹事長がそろって憲法について触れず、議論を避けるなど、無責任さを際立たせました。