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2018年1月31日(水)

主張

TPPとトランプ

離脱も復帰もアメリカ第一か

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 政権発足から1年を迎えたアメリカのトランプ大統領が、昨年の就任直後「離脱」を表明した「環太平洋連携協定」(TPP)に「復帰」する意向を示しました。アメリカや日本などアジア・太平洋の12カ国で関税や非関税障壁を原則撤廃するTPPは、競争力の強い国や多国籍企業に圧倒的に有利な仕組みです。トランプ氏が選挙中から離脱を公言したのは、2国間交渉でもっとアメリカに有利なルールにするためです。ところがアメリカを除く11カ国がTPPを発足させると合意したのを受け、今度は復帰を表明するというのも「アメリカ第一」の思惑からです。

アメリカの利益のために

 トランプ大統領がスイスで開かれた世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)での演説(26日)などでTPPへの復帰を表明したのは、「(アメリカの)国益が十分守られるならば、TPPの加盟国と個別またはグループで協議することを検討する」というものです。あくまでも復帰は無条件ではなく、再交渉などの条件付きです。

 トランプ大統領は関税や非関税障壁を撤廃する「自由貿易」ではなく、あくまでもアメリカの利益を最優先するトランプ氏流の「公正・互恵貿易」を掲げてきました。ダボス会議での演説でも「公正で互恵的であれば、自由貿易も支持する」と、アメリカに有利な条件ならTPPのような多国間協定も除外しないというものです。日本などアメリカを除くTPP参加11カ国は、アメリカの強い要求で盛り込まれた一部の項目を「凍結」して3月に調印、発効させることで動いており、これらの国が再交渉に応じるかどうかを含め、アメリカのTPP復帰は不透明です。

 TPPはもともとアメリカのオバマ前政権や多国籍企業が強く主張した「自由貿易」の考え方にもとづき、貿易に課税される関税を原則撤廃、関税以外の非関税障壁や知的財産などの投資のルールもアメリカなどに基準を統一します。競争力の強い国や多国籍企業に有利な半面、国によって生産条件が違う農業や国内の産業が大きな打撃を受ける国があるだけでなく、多国籍企業が進出した国で政府を訴えることができる主権侵害の条項まで盛り込まれました。

 トランプ氏が選挙中からTPP離脱を主張したのは、輸入の増加で打撃を受ける国内の労働者の反発が無視できなかったためでもありますが、TPPから離脱する一方、「公正貿易」と称して農業などの分野では2国間交渉を行い、譲歩を迫る態度を露骨に示してきました。ところが残る11カ国が協定を発効させるとせっかく譲歩させた分野でもアメリカが恩恵を受けられなくなると産業界などからは不満がくすぶっていました。

日本は経済主権貫け

 トランプ大統領がTPPを離脱するのも復帰するのもアメリカ第一のためです。日本はTPPに固執するのをやめるべきです。11カ国であれ2国間であれTPPを前提に交渉する限り、譲歩を迫られるのは目に見えています。

 アメリカの要求には「ノー」といえない、安倍晋三政権の「トランプ第一」の姿勢が根本から問われます。TPPの“復活”交渉はきっぱり中止し、各国国民の暮らし、食料主権、経済主権を互いに尊重する公正・平等な貿易と投資のルールづくりをめざすべきです。


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