2024年3月1日(金)
衆院予算委中央公聴会 社会保障充実を
今すぐ最賃1500円に
小畑全労連議長が指摘
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衆院予算委員会は29日、2024年度政府予算案についての中央公聴会を開きました。小畑雅子全労連議長は公述で、賃金が下がり続ける国から上がる国への転換を今春闘で求めていると紹介。労働者の賃金は経済の基本であり、全国一律最賃1500円以上の実現は喫緊の課題だと指摘しました。
岸田文雄首相は最賃1500円の目標を2030年代半ばに定めています。このことを質問した日本共産党の本村伸子議員に対し、小畑氏は「生活が大変な労働者を支えることにはならない。今すぐ1500円そして1700円を目指していく」と答えました。
本村議員は医療や介護、保育などケア労働者の賃上げが物価高騰に追いついていないと指摘。小畑氏はケア労働者の賃金・処遇改善は「喫緊の課題だ」として「本当に賃上げにつながる改定をしてほしい」と述べました。
小畑氏は社会保障や教育予算について、「賃金がこれだけ低く、社会保障は充実していない。この先の人生まで考えたときに、安心して暮らせない」「大軍拡予算の中で、本当にやってほしい教育の無償化や少人数学級の実現が後回しになっている」と指摘。「税金の使い方を変えてほしい」と述べました。
子育て支援金に批判
西沢・鈴木氏「説明は詭弁」
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中央公聴会では、「少子化対策」として政府が導入する「子ども・子育て支援金制度」について、公述人から批判が相次ぎました。
日本総合研究所の西沢和彦理事は、国と地方自治体の行政活動とは一線を画し、民主的・自治的に運営される公的医療保険に財源を上乗せすることは「保険者自治の侵害だ」と反対を表明しました。
鈴木亘学習院大教授は、賃金上昇を加味するので、支援金制度を導入しても国民負担率は上がらないとする政府の説明は「詭弁(きべん)だ」と断じ、「医療保険に財源を上乗せすれば同制度を壊す」として撤回を求めました。
日本共産党の高橋千鶴子議員は支援金制度について、政治的思惑が勝り、制度設計が後回しになったのではないかと質問。西沢氏は支援金の平均負担額を1人「月500円弱」と試算したことについて、国民向けに「ワンコインならよかろう」との雰囲気をつくろうとしたものだと指摘。「各『ステークホールダー』(利害関係者)と交渉していたのだろうがそういう政治のやり方は間違っている。訴えるのはステークホールダーでなく、国民一人一人であるべきだ」と主張しました。