2024年10月29日(火)
総選挙の結果について
2024年10月28日 日本共産党中央委員会常任幹部会
(1)
10月27日に投開票がおこなわれた総選挙で、自民党、公明党は、「与党過半数割れ」に追い込まれるという歴史的大敗を喫しました。自民党政治への厳しい国民の審判が下ったことは明瞭です。
これは、大局的に見れば、国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索し、探求する、新しい政治プロセスが始まったことを示すものです。日本共産党は、この歴史的結果を心から歓迎するものです。
この政治の激動をつくりだすうえで、決定的な役割を果たしたのは、自民党の政治資金パーティーによる裏金づくりを暴露し、さらに選挙の最中に、裏金非公認議員にたいする政党助成金からの2000万円の支給をスクープした「しんぶん赤旗」と日本共産党の論戦でした。選挙戦の終盤で、与野党ともに「空気が激変した」というほど、日本共産党は、自公政権を追い詰めるうえで大きな貢献をすることができたと確信しています。
政治の新たな激動のもとで、今後、企業・団体献金の禁止、紙の健康保険証の存続、選択的夫婦別姓、学費値上げストップなど、国民の切実な願いにこたえるか否かが各党に鋭く問われることになり、世論とたたかいによって、政治を前向きに動かす可能性も大きく開かれてくるでしょう。
日本共産党は、「財界の利益最優先」「日米軍事同盟絶対」の政治のゆがみを根本から正す立場をもち、内政においても、外交においても、自民党政治転換の確かな旗印を掲げる党として、衆参の国会論戦にのぞむとともに、あらゆる分野で国民要求にもとづく運動を起こし、総選挙でかかげた公約実現のために全力をあげる決意です。
(2)
今度の総選挙で、日本共産党は、小選挙区では、沖縄1区・赤嶺政賢さんの宝の議席を守り抜くことができました。「オール沖縄」のみなさん、沖縄と全国の党と後援会のみなさんの力でつかんだ大きな勝利です。
比例代表選挙では、残念ながら、改選9議席から7議席への後退となりました。比例得票は直近の国政選挙である2022年参議院選挙と比べると、361万8千票(得票率6・82%)から336万2千票(得票率6・16%)への後退となりました。比例代表選挙で議席と得票を後退させ、東北、東京で現有議席を守り切れなかったことは、たいへんに悔しい結果であり、常任幹部会として責任を痛感しています。
日本共産党にご支持をお寄せいただいた有権者のみなさん、ご支援をいただいた支持者、後援会員、サポーター、党員のみなさんに、心からのお礼を申し上げるとともに、ご期待に応える結果をだせなかったことに、おわびを申し上げます。
党内外のみなさんのご意見に耳を傾け、今後のたたかいに生かし、来たるべき国政選挙では、必ず反転攻勢に転じていく決意です。
(3)
総選挙を通じて、日本共産党は、「腐敗政治を根本から正し、政治に信頼を取り戻す」「大企業・大金持ち優遇から暮らし優先へと政治を変える」「日米軍事同盟絶対の『戦争国家』づくりを止め、外交の力で平和をつくる」「石炭火力ゼロ、原発ゼロで、気候危機から人類の生存をまもる」「ジェンダー平等を求めるムーブメントをともにすすめる」という“五つのチェンジ”を訴えましたが、これらは有権者の気持ちにかみあい、選挙戦の論戦をリードしました。
「賃上げと一体に労働時間短縮で『自由な時間』を」という新たな政策提起は、国民の切実な願いと響きあい、訴えが届いたところでは大きな共感がよせられました。年金、医療、介護などの負担増・給付削減に対し、世代間対立をあおるのではなく、国の責任で社会保障の拡充をはかる「緊急提言」も大きな力を発揮しました。
また今度の総選挙では、第29回党大会以来の理論的開拓の到達点にたち、日本共産党のめざす未来社会――社会主義・共産主義社会が、「人間の自由」が全面的に花開く社会であることをおおいに訴えてたたかう、初めての選挙戦となりました。
これらの訴えが共感を集め、とりわけ若い世代、労働者のなかで新鮮な注目と期待をよんだことは、来年の都議選・参議院選挙のたたかいにとっても、党の世代的継承を中軸とした党づくりをすすめるうえでも大変重要な教訓だと考えます。
総選挙で訴えた政策、わが党の綱領路線、科学的社会主義に確信をもって、今後のたたかいにのぞむことを全党によびかけるものです。
(4)
この総選挙では、日本共産党のご支持を広げようと多くの支部・グループ、党員のみなさんの大奮闘がありました。しかし、対話・支持拡大は近年の選挙と比べても半分程度にとどまり、党の訴えを有権者に十分浸透させきれないまま投票日を迎えたことを率直にお伝えしなければなりません。その根本にはわが党の自力の後退があります。ここに総選挙から引き出すべき最大の教訓があり、この弱点の打開は、いよいよ緊急で死活的課題となっています。そのことは全党のみなさんが、共通して痛切に感じておられることだと思います。
自力の遅れをカバーするために、第3回中央委員会総会では「国民とともにたたかう選挙」をよびかけ、全国各地で、「折り入って作戦」、SNSの発信・活用、選挙ボランティアの組織などで新しい創意的努力が行われましたが、この挑戦はまだ始まったばかりです。
いま、自民党政治の変革を願う広い方々から、党派を超えて、「自民党を追い詰めたのは『しんぶん赤旗』、ありがとう」と購読の申し込みが急増しています。「もっと自分が活動しなければ」との思いで入党する方も広がっています。
全党のみなさん。総選挙のたたかいがつくりだした新しい条件、財産を生かし、世代的継承を中軸にした党づくりにただちにとりかかろうではありませんか。強く大きな党をつくりながら、「国民とともにたたかう選挙」の探究をさらに本格的にすすめ、来たるべき都議選・参議院選挙では必ず勝利をつかもうではありませんか。