2024年10月31日(木)
きょうの潮流
大河ドラマにも出てくる「源氏物語」や「枕草子」には当時の権力者にあらがう女性たちのメッセージが込められているのではないか―。そんな説があります▼天皇に嫁いだ娘が男児を産むことで外戚となり実権を握る。平安時代はそうした摂関政治の全盛期でした。華やかな王朝の裏側で権力争いにもてあそばれる女性。宮中や貴族の屋敷に仕える「女房」だった紫式部や清少納言は、その内実を物語にしたためたと▼女性を縛りつけ、犠牲にする政治。それは千年たった今も。夫婦同姓を強いる民法が残っていることもその一つです。国連の女性差別撤廃委員会は四たび、選択的夫婦別姓を可能とする法改正を日本政府に勧告しました▼世界では異常な日本の「当たり前」。イギリスではすべての人が生きたい名前で生きる自由があり、こうしなくてはいけないという規定がそもそもないそうです。日本の「当たり前」で不利益を被っているのは、圧倒的に女性です▼こんどの総選挙でも自民党を除くほとんどの党が別姓制度の実現に賛成しています。今回当選した議員の65%が賛成、自民党内でも意見は分かれているとの調査もあります。国民多数も求め、すぐにでも導入できる条件は整っています▼国連勧告と時を同じく、同性婚を認めない法規定は憲法違反だという判断を東京高裁が示しました。「差別的な取り扱いだ」として。長く奪われてきた人権。家族のあり方を国が決めるなの声は、社会にも国会にも、さらに大きく響いています。