2024年11月8日(金)
きょうの潮流
1期目の大統領の時でした。ニューヨークにあるトランプ・タワーを訪ねたことがあります。銃を手にした警備員の姿と対照的だったのがグッズを買いあさる支持者の笑顔でした▼人気は「MAKE AMERICA GREAT AGAIN」と書かれた帽子。米国を再び偉大な国にするというスローガンは、貧富の格差や生活に苦しむ人たちの共鳴をよび、政治運動の象徴となりました▼米国第一主義のもとメキシコとの国境に壁をつくり、多国間合意や国際機関からの離脱を重ねたトランプ政権。差別的な言動や暴言は大統領になってもやまず、コロナ対策でも国民を欺き4年前の大統領選で敗れました▼今回の返り咲きからは、依然として米国内の状況が改善されないどころか、格差や分断がさらに進んでいることがうかがえます。米大手メディアの調査では有権者の多くが経済対策を重視。トランプ氏に期待する声が上回っていました▼民主党政権はイスラエルを擁護する姿勢に支持者が離れ、ハリス氏の訴えも届いていませんでした。党内の進歩派議員や著名人からは、もっと労働者や市民の要求にこたえた政策を語らなければ支持を得られないとの声が相次いでいる。本紙特派員もそう報じていました▼トランプ氏は再選後「アメリカに真の黄金時代が来る」と。米国の利益最優先、対立と憎しみをあおる姿勢に変わりはありません。変化をもとめる人びとの強い思いとともに、「暗黒の時代」を許さない国民のたたかいが始まります。