2024年11月9日(土)
きょうの潮流
大学を出てから数十年。初めて同窓会を開くことになりました。全員集合に近いかと思いきや、そうはいきません▼仕事が忙しい人、難病になって歩くのがままならない人、家族の介護を続ける人…。それぞれの人生を背負って、前向きに毎日を送っている姿を想像しました▼そんな時、思い起こしたのがNHKのドラマ「団地のふたり」。小泉今日子さんと小林聡美さんが、自らとほぼ同年齢の50代の主人公を演じています。幼なじみで、一度は団地を出てパートナーと暮らしたものの、どちらも破たんして団地に戻ってきました▼飾らない二人の気のおけない会話が心地いい。助け合い、困ったときに手を差しのべてくれる隣人もいます。ささやかな日常を丁寧に生きることがどんなに大切か。だれもが願う幸せの形がここにはあります▼2024年の世界の「幸福度ランキング」を見ると、トップはフィンランド。デンマーク、アイスランドと続きます。自由や民主主義が抑圧されている香港は86位、戦火のウクライナは105位。日本は昨年の47位から51位に後退しました。国民が「幸福感」を持って過ごすためには、政府によるさまざまな援助や改革が必要とメディアは分析しました▼高学費や低賃金にあえぐ若者。長時間労働に追われる働き盛り。今の年金では暮らせないと悲鳴を上げる高齢者。どの世代にも物価高が重くのしかかります。いずれも国の責任です。総選挙で示した民意は、幸せを実感できる政治の実現にほかなりません。