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2024年11月18日(月)

主張

裏金の“けじめ”

真相解明を寄付でごまかすな

 自民党の無反省とごまかしには驚きます。

 自民党は総選挙後、6月の通常国会で公明党とともに強行成立させた改定政治資金規正法の再改定の議論を始めました。裏金問題への怒りの声に直面し、再び政治資金の集め方や使い方を見直さざるを得なくなったのです。

 しかしその中身は、国民の審判に向き合うどころか、ごまかすことばかり考えたものです。▽改定法で合法化した政策活動費を「廃止を含めて」検討▽政治資金に関する第三者機関の設置―などを打ち出すものの、裏金問題の真相解明には取り組まず、裏金づくりの温床となった企業・団体献金の全面禁止をかたくなに拒む姿は選挙前とまったく変わっていません。

■裏金相当額の2倍

 ごまかしの一つが裏金問題の“けじめ”として、裏金相当額の2倍(約14億円)を国庫へ寄付するほか、東日本大震災や能登半島地震の復旧・復興のために寄付する案です。9月の総裁選でも「国庫に返納することでけじめをつけるべきだ」(河野太郎前デジタル相)、「政党交付金から国庫に返納すべきだ」(加藤勝信財務相)など、国民の税金である政党助成金を原資にした“寄付のけじめ”論が出されていました。

 被災地の復旧・復興のための予算措置は緊急に行うべきです。しかし、それを自民党ぐるみの組織的犯罪で脱税、選挙買収などの疑いが問われている裏金問題のけじめとするのは、まったくの筋違いです。まして寄付の財源に税金も考えられています。それで“けじめをつけた”などというのは言語道断です。

 裏金相当額の倍を寄付したとしても、裏金の犯罪性や政治責任が免責されるわけではありません。刑事告発され不起訴となった萩生田光一自民党元政調会長の秘書について検察審査会が「不起訴不当」と議決(10月23日付)したように問われ続けています。

 寄付算定の元とされている裏金総額(7億2284万円)は、自民党の2月の内部調査で2018~22年の5年間に限って認めた85人の衆参議員の裏金額に、当時立件されていた議員3人分を合わせた額です。刑事責任が問われた5年間分以外にも裏金づくりが行われた証言があります。

■企業献金の禁止を

 総選挙での審判を受け、来年改選を迎える参院の裏金議員などから、疑惑をもたれた国会議員が弁明する場である政治倫理審査会(政倫審)の出席に応じる声が出はじめています。衆院政倫審で弁明しないまま総選挙で落選した裏金元議員に対しても、民間人として予算委員会や政治改革特別委員会での参考人招致や証人喚問を行うことができます。野党側が予算委員長などのポストを獲得したことはこれらを実現できる条件を広げています。

 裏金づくりがいつ、だれによって始められ、何に使われたのか―日本共産党が追及し続けたこの根本的問いに自民党は答える必要があります。自公両党の議論からは企業・団体献金禁止がすっぽり抜け落ちています。「けじめ」というなら真相の解明と、企業・団体献金の全面禁止で腐敗をおおもとから断ち切ることが必要です。


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