2024年11月18日(月)
きょうの潮流
急逝した西田敏行さんの追悼番組や映画がテレビで放送されています。先日映画「釣りバカ日誌」の最終作も流れていました▼そのなかのある場面が改めて感動を呼んでいました。西田さんとコンビを組んだ三國連太郎さん演じる大手建設会社の会長(スーさん)が退任のあいさつをするシーンです。「この会社は私のものではない。ここにいる経営陣のものでもない。株主のものでもない。君たち社員のものだ」▼働く人たちと家族の生活を大切にすることは企業の社会に対する義務だ。経営不振は経営者の責任で雇用に手をつける時は経営者は辞めなければならない。創業者としての信念を語るスーさんに全従業員から万雷の拍手が送られます▼SNS上では「経営者のかがみ」といった称賛や、いまの経営者に聞かせたいという声も。それだけ労働者の現実が厳しいことの裏返しか▼日産自動車が業績不振を理由に世界で9千人もの人員を削減すると発表しました。地域や時期は明言を避けたものの、大規模なリストラに国内でも不安が広がっています。社長は役員報酬の5割を自主返納するそうですが、それでも3億円以上を手にすることに▼東芝の4千人リストラをはじめ、今年も多くの企業が解雇や退職を強要してきました。それなのに自民党からは解雇規制の緩和を求める声まで。職を失うことは収入が途絶えるだけでなく、社会から存在を否定されたような扱いを。働く人びとの人権を守る社会―それもまた新しい政治プロセスです。