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2024年11月19日(火)

GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人) 2証券優遇

国債取引 独占させる

最高投資責任者が投資情報まで提供

 国民の納めた公的年金保険料を金融市場で運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の取引の公正性に重大な疑義が生じています。GPIFで最高投資責任者を務める植田栄治理事が2023年7月以降、国債購入に際して「ほしいままに特定の2証券会社を継続的な取引先として選定」し、利益を得る機会を与えていたことが監査報告などで明らかになったからです。


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(写真)年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の事務所が入る虎ノ門ヒルズ森タワー=東京都港区

 厚労省やGPIFは、優遇してきた2社の企業名や2社からの国債購入額を明らかにしていません。しかし、GPIFは23年度に13兆円も国債資産を積み増しています。23年7月の2社選定後、取引集中は今年の春まで継続していたとされ、相当規模の国債購入取引が2社に集中していた可能性があります。

 うち1社の役員と植田氏は証券会社時代の「特別な人的関係」があり、GPIFの将来の投資行動に関する情報まで提供していました。植田氏はゴールドマンサックス証券取締役を経て2020年にGPIF理事に就任しました。

引き合い取らず

 GPIFが市場から国債を購入する際には、取引の公正性や適正性を確保するため、調達を請け負う証券会社や銀行の複数社から引き合い(調達見込み額)を取ることが内規で定められています。

 しかし、植田氏は引き合いを取らずに独断で特定2社に取引を独占させ、12月に内部通報があるまで経営委員会はおろか理事長にもその事実を伝えていませんでした。所管する厚生労働省によると、問題の国債取引以前にGPIFが引き合いなしで企業を選定したことはありません。

 さらに植田氏は、証券会社時代に面識をもった1社の役員と連絡をとり、国債を継続的かつ大量に購入するというGPIFの投資情報を伝え、取引のための秘密保持体制の整備を要請しました。連絡を受けた企業はその後、秘密保持に関する内部通達を出しました。植田氏は最高投資責任者の地位を利用して個人的関係のある1社に特別な便宜を図り、GPIFとの巨額取引のための体制を整えさせたことになります。

「法令等に違反」

 GPIF監査委員の尾﨑道明弁護士は今年6月の監査報告で、植田氏の「特別な人的関係」に基づく選定を「法令等に違反」していると厳しく批判する反対意見を提出。7月26日に開かれた厚労省の審議会でも「明らかに著しく不当な行為である」「このような恣意(しい)的な選定が許されるならば、それは組織の腐敗の道を開く」と、GPIFの対応を重ねて批判しました。


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