2011年8月12日(金)「しんぶん赤旗」
村民との対話 大切に
福祉・地場産業の施策進む
長野・南牧村 菊池幸彦村長に聞く
長野県南牧(みなみまき)村の日本共産党員の菊池幸彦村長(69)が2007年11月の村長選で初当選して4年を迎えます。村政運営について菊池村長に聞きました。(大星史路)
この夏に、東日本大震災の被災地の子どもや保護者のみなさんを村に呼び、高原の涼しい自然環境に触れてもらおうと計画を進めています。
国難の中で総力
まず福島県伊達市から第1陣として約40人が村の宿泊施設を利用して過ごしました。宿泊・食事・送迎の経費は村がもちます。現在、福島県浪江町のみなさんの受け入れも協議中です。
大震災・原発事故の国難の中で、総力をあげています。議会も全会一致で事業の補正予算を認めていただき、さらに足りなければ追加予算もというお墨付きもいただいているので思い切ってできます。
7月25日から地デジ移行になりましたが、村にはテレビ難民はいません。村では、地デジへの移行で各家庭がテレビを買い替えなくてもいいようにケーブルテレビの高度化事業で対応しました。これは住民から喜ばれています。
初めて首長という立場になった3年8カ月間は緊張の毎日でしたが、やりがいと自信も深めました。
清潔で公正、利権や汚職がない村政が村民に受け入れられたと思います。
当選して最初の議会では「共産党員の村長が公正な村政ができるのか」という質問が出る状況でしたが、今は、「共産党員の村長は不正や汚職など絶対にないから安心だ」と村民の方の気持ちが変わってきたのが肌でわかるようになりました。
必要な公共事業
公共事業についても不必要な事業はやらない、必要な公共事業をしっかりやりました。独居老人などの集合住宅「きぼうの家」や知的障害者の作業所の改築、農道や道路、水路の改修が大きなものです。村の全公共施設の耐震診断をやり、問題のあった役場庁舎や社会体育館など全部を耐震化しました。
1000万円以下の公共工事の発注は地元業者を優先しています。当初は、盆暮れの付け届けが届いたものです。それを全部お返しして、そういうことはいっさいなくなりました。堂々と「住民こそ主人公」を貫いています。
村民との対話を大切にしています。
子ども連れで村長室を訪ねてきたお母さんたちと懇談したりします。子どもの新型インフルエンザ予防接種の全額補助や、中学3年生までの医療費の無料化の継続など、村の施策に対して「助かります」と言葉をいただきましたが、これらはお母さん方の声に応えたものです。
保育料を値下げ
ほかにも、全中学生を対象として子宮頸(けい)がんワクチン接種の全額補助を国の補助が始まる前から実施しました。また妊婦健診も回数に関係なく、実質全額補助できるようにしています。すべて村民の切実な声をもとに実現した施策です。
保育園の保護者と懇談したときは「保育料が高い」と訴えられました。すぐに近隣の市町村を調べると、なるほど村の保育料が高かった。私が村長になった年から平均で2割保育料を下げました。値下げ分は、公約で掲げた村長給与の3割削減分に相当します。
灯油が値上がりしたとき、役場の女性職員から「お年寄りや低所得者だけではなく、子育て中の家庭にも灯油代を補助した方がいい」と提案されました。なるほど、核家族で子どもを抱えている若い家庭は大変なんですね。それで補助の対象を広げたこともありました。
全村を囲む、総延長80キロメートルのシカの防護柵を作り、野菜畑を踏み荒らすなどの被害が目に見えて減少しました。
防護柵の設置では、農水省が他の自治体に南牧村を視察先として紹介するほどです。
これだけたくさんの仕事をしながら、村の借金は減り、基金は増えました。
村の特産品は高原野菜です。後継者もいて活力があります。酪農の村でもあります。牛は村の人口と同じ約3000頭います。牛のふん尿を上質な堆肥にして野菜畑に入れ、地力を高めて化学肥料をなるべく減らして、おいしくて安全な野菜の産地にする「自然にやさしい循環型農業」をつくろうと、臭いもなく、ハエが発生しない堆肥をつくる実験研究をしています。間もなく完成します。
苦しみではなく、やりがいを感じる農業ができる村、豊かな自然・観光資源を生かした村づくりなど、これからもやるべき課題をしっかりすすめていきたいと思います。
標高1000メートル以上の冷涼な村にぜひ一度お出かけください。
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